「うららー」

ユキはあたしの顔を見るなり抱きついてきた。

「ずーっと心配してたんだよ。あんた全然連絡してこないから」

ユキはちょっと涙ぐんでいた。

「ごめんね」

そう言うと、首を振って「辛い事いっぱいあったんでしょ?」と言った。

「うん・・・、でも、大丈夫だから」

あたしは10年連絡しなくても、心配して泣いてくれるこの幼馴染が大切だ。


3人で飲みながら色んな話をした。
あたし達の共通点はバラバラだったけど、同じ中学だし、狭い街だから誰が今どうなっていると話しがたくさん出てきた。

「わかんなかったのはあんたの事くらいだよ」

ユキの言葉にあたしは苦笑いをした。

「ところでさ、何でモリとうららが仲良くなってんの?モリからうららが帰ってくるって聞いた時ビックリしたんだけど。元々仲良かった?」

あたしとモリは同時に「全然」と言った。

「モリって、あたしの事知ってた?」

あたしが聞くと「知ってたよ」とあっさり言った。

「サクヤくん、お前の兄ちゃんを知ってたのもあったけど知ってた」

「あー、サクヤね。サクヤの事は知ってるとは思ったけど、あたしの事は知らないと思ってた」

モリはビールを飲みながら言った。

「若葉が昔、お前の事可愛い騒いでたから知ってたんだよ」

「ふーん、あたしは若葉に興味なかったけどね」

あたしはおつまみを食べながら言った。

「何か爽やかなヤツ、何だっけ?バスケ部の・・・」

「ヤスだ」ユキが言った。

「そうそう、そいつの事好きだったんだろ?」

ニヤニヤ笑っている。

「何さ、いつの話してるの。大昔の話じゃん」

あたしは下らないと呆れた。