出来る限り思い出せる限り、あたしはモリに話した。


あたしが中学時代、イジメに遭っていた事にモリはかなりビックリしていた。


「何でそんな事になったんだ?」


聞かれても、あたしには今でもさっぱり理由がわからない。


「知らない」


あたしは笑いながら水割りを飲んだ。


「ヒロって自分の事よりも、まず人の事。あたしの事ばっかり心配してたんだよね」


「まぁ、仲間が争うのはあんまり好きじゃないタイプだったけどな」

モリもうなずく。


「だからって群れる感じでもなかったかな?友達っていっぱいいたけど、固定された人とばっかり遊んでたとあたしは思うけど。バンドの事は知らないけど」


それを聞いてモリは吹き出した。


「オレ、ヒロに何回も『下手くそ!』ってキレた事あったな。後は、若葉だな」


「音痴だったんでしょ?悩んでたもん。どうしよーって」


あたしもつられて笑ってしまった。


「あれは困ったのはヒロだけじゃねーよ。みんなだよ。でも若葉は自覚ないし、一生懸命だったし言いずらかったからさ」


「へー。モリなら秒殺しそうだけどね。『お前、いらねー』で終了みたいに」


「お前、オレのイメージどんなんだよ・・・。ものすごい性格悪いヤツだろ、それじゃ」


「え?性格良かったの?それはないでしょー、自分を美化してんじゃないの?」


「お前、いちいちカチンとくる事言うよな。オレ、そんなに性格悪くねーよ」


「今はね、何となくわかるけど。15歳のあたしには理解出来なかったなー」