ところが・・・


(うーん?)


あたしはアンプに寄りかかって見てた。

確かにギターの人、歌ってるんだけど、あたしには後姿しか見えない。


ユッコちゃん、アキちゃん、よへいの3人は演奏しながらギターを見ないようにしているみたいだ。


(白目・・・剥いてるんだろうけど、見えないじゃん!!)


つまんないなー、あたしはすぐそばで時々キーキーなるような音のギターを聴いていた。






そんなユッコちゃんのバンドが変化したのは春のこと。

ちゃっかりあたしまで同席して、4人で街の中のミスドにいた。
ギターの人を除いて。


やっぱり、どうも彼の人間性と音楽性が合わないみたい。

(だよな・・・)

あたしも同感だった。


事実、あたしは彼のギターの音があまりにも耳につんざくような感じがして、不覚にも嘔吐してしまった。
失礼な話なんだけど、本当に。


サクヤがギターをやっていたから、あたしはギターが大好きだ。


昔、サクヤがまだ実家に住んでた頃、サクヤがギターを弾いて、あたしが歌う。
そんな遊びをよくやっていた。


ギター大好きなあたしが嘔吐する音。
耳障りな音、あたしはそう思ってしまった。



今日は彼に「バンドを抜けてほしい」という話し合いを行う予定。


だって仕方ない。
人間同士、楽器同士、人も音も合わないんじゃやっていけない。