花火が終わってから、あたしとヒロは急に仲良くなった。
理由は簡単で『お互いの好きな人の協力をする』という事。

明日、例のモリの家に行くと決定した事をあたしは電話でヒロと話しをしていた。

「行きたくないんですけど・・・」

あたしの悲壮感を無視したかのようにヒロは笑った。

「あー、大丈夫だって。何もされねーよ。ただ、うららが嫌いなヤンキーがウジャウジャいるだけだから」

「だから!それが一番イヤなんだって。何であたしが、モリって人の家に行かなきゃいけないの?若葉、絶対頭おかしいよね」

「うーん、それはね・・・・。若葉がワリとお前を気に入ってるからかな?」

「は?」

ヒロの言葉にあたしは眉間に皺が寄った。

「何で?若葉があたしを?若葉って彼女いなかった?」

「別れたよ。で、うちのクラスだったら誰がいい?って話した時にお前がいいって言ってた」

「うちのクラスで、でしょ?だからってヤンキーに紹介される意味がわかんないよ」

「まぁまぁ、そんな意地悪言わないで行ってやれよ。行かなきゃ若葉の顔を立たないだろ?」

なぐさめるような口調でヒロが言った。

「・・・わかったよ。行くけど、行くけど、30分で帰る!1時間経ってもあたしから連絡なかったらヒロ助けに来てね!!」

あたしは懇願した。

しばらくの沈黙・・・・。

「りっちゃんと遊ぶ約束取り付けてくれたら助けてやるよ」

あたしは「もういいわ」と電話と切った。