どうしよう・・・

あたしは客に笑顔を見せながらも困った。
もうすぐ、例のサービスタイムの時間がきてしまう。

肩に手が触れた。
客を見送ろうと歩いているマリナさんの手。

「そろそろじゃないの?」

小声であたしに言った。

あたしの心臓は尋常じゃないくらいにバクバクした。
生唾を飲み込む。

「実は」

声が一瞬震えたと思う。
呼吸を整えてもう一度言った。

「実は、ユカリちゃんね、この後のサービスタイムで踊る事になってるの」

あたしが言うと、ユカリは「え?」とあたしを見た。

ユカリも当然知っている『脱ぎ専門』のサービスタイム。

「へーマジ?」

客が爆笑した。

「今日初めてなの。そうだよね?ユカリちゃん」

笑顔でユカリを見た。

「え?・・・ウソ、メイ・・・あたしそうなの?」

ユカリの顔が泣きそうな表情になる。

「ユカリちゃん、そうでしょ?あれ?知らなかった?」

「あたし・・・ヤダよ!!」

「また、イヤがっちゃって。本当は楽しみなんですよ」

あたしは客に笑顔で言った。

そして客に聞こえないように小声で言った。

「脱げって言ってんの。わかんないのかよ、バカ女」

そう言った直後に派手な音楽が流れ始めた。

あたしはユカリの足を蹴って「早くしてよ」と冷たく言った。

「メイ・・・」

ユカリは涙を浮かべながらあたしを見た。

「何?しょうがないんじゃないの?」

あたしはバカにしたように笑った。