『脱ぎ専門』とは言葉通りで、お客を取れない子、見た目がイマイチな子に科せられるキャラ。


サービスタイムという時間がこの店にはあって、派手な音楽が鳴ったら、そのキャラの子達は全裸になって踊って盛り上げる。
盛り上げると言っても、客は大爆笑するのがほとんどだからただの客寄せピエロ。


それがイヤで泣きながら辞めていく子は何人もいる。






ユカリが入ってしばらく経った。

予想通り、ユカリはお客が取れないで、ヘルプについている教育係の子にもイヤな顔をされていた。

「人の気もしらないで、メイのヘルプにつきたいってうるさいんだけど」

教育係の子がイライラしながらあたしに言ってきた。

「え?あたし関係ないじゃん。知らないよ」

「だって、メイの友達だってうるさいんだよ?あんた面倒見てよ。ドジだし空気読めないし、最悪だから」

「余計イヤ」

あたしはタバコをゆっくり吸った。


「メイ」

マリナさんに呼ばれて「何ですか?」と言った。

「そろそろ教えてあげたら?あの子の未来」

「あたしが?何でですか?」

「友達だっていうんだからさ。あんたの席につかせて脱がせなよ」

あたしはうんざりした顔をした。

「それはオーナーとか、マリナさんがやる事ですよね?何であたしが・・・」

マリナさんの美人な顔が意地悪な笑顔になった。

「面白いから」

あたしはため息をついた。

上下関係は絶対で、マリナさんの言う事は聞かなくてはいけない。


マリナさんはこの時代のまさに『完璧なキャバ嬢』そのものだ。

噂では一月に百万以上稼ぐと言われている。

マリナさんに嫌われると干させる。そんな噂もある。

幸いあたしは好かれてるみたいだけど。