ヒロの死・・・・。


それはあたしの心のずーっと奥でいつもグルグルと渦を巻いている。

きっとこの先、何年、何十年経っても、それはいつもグルグルと変わらない。


ヒロの死からしばらくして、チイから手紙がきた。

長い手紙には、ヒロがどんな風だったかがいっぱい書いてあった。
あたしが引っ越してからのヒロの様子。

そしてヒロの写真がいっぱい入っていた。

あたしはそれを箱にしまって見えない所に置いた。





携帯を見ながらあの箱はどこへしまったかな?と思った。

(ダメだ!思い出さないって決めたんだから)

頭をブンブンと振っていると

「メイさん、指名入りました」

と、黒服があたしに言った。

「あ、はい」

あたしは立ち上がる。


あたしが住んでる5大都市のひとつ。

この飲み屋街を日本で知らない人はいないと思う。


あたしはキャバ嬢として働いていた。

友達に誘われて働き始めたキャバクラで、OLになった今でもあたしは働いていた。

理由は単純。「お金」

どうしよもない男と付き合っているあたしにはお金が必要だから。

借金まみれのその男のためにあたしは働いている。


「さて・・・」


ここではあたしは「うらら」ではなく「メイ」。

何がいいのか、結構人気も出てきた。

鏡で自分の姿を確認すると

「今日も稼ぐかなー」と言った。

同僚のキャバ嬢の子が「ヘルプ呼んでね」と声を掛けてきた。

「OK」あたしは笑ってピースをした。

そして黒服の後をついて行く。