あたしがその人を見て、どうしていいかわかんないでいると、

「花」と西が言った。


ヒロの友達の花くん。あたしとヒロが街中で大喧嘩した時に仲裁してくれた。


「花くんか・・・、雰囲気違うからわかんなかった」

花くんは目を真っ赤にしている。

「うららとヒロってお互い親友だって言ってたよな?」

花くんがようやく喋り始めた。

「お前、親友の骨も拾ってやらないのかよ」

「え?」

花くんの言う事が理解出来ない。


「骨?どういう事?」

「花、うららは元々この街の人間じゃないから知らないんだよ。最初に火葬される事があるって知らなかったんだ」

西が説明する。


骨?火葬?それって・・・

「ヒロって・・・、もう骨になってるの?」

あたしは震える声で言った。

「ヒロが死んじまったんだから、真っ先に来るのが親友なんじゃねーか?それが何だ?お前。通夜にひょっこり現れてふざけんな!!」

花くんの怒鳴り声に花くんの友達数人が慌てて走ってくる。

「ヒロはお前が来るのをずーっと待ってたと思うぞ!バカにすんなよ!」

怒鳴る花くんを数人が抑えて違う場所に引っ張っていった。


あたしは呆然とした。

「うらら、ヒロは死ぬ前に花の家にいたんだ。その帰り道に事故ったから、花は自分のせいだって責任を感じてる。だから苛立ってるんだよ。気にするな」

それでもあたしは何も言えなかった。


(ヒロはあたしの事、待ってた・・・?)


「何か飲み物買ってくるわ」

西はあたしのそばから席を立った。

あたしはまだロビーでぼんやりしていると、隣の席に人が座る気配がした。
横目で見ると、キレイな女の子があたしを見て笑っている。

「やっぱ、うららだ」

「・・・チイ?」

チイはニッコリ笑ってうなずいた。