愛が激重すぎる独眼の若頭は、婚約破棄を申し出た冷遇娘を手放したくない。


日本には、異能と呼ばれる道理では説明ができない不思議な力が存在した。
大正時代後期まで、異能者と非異能者で分けられ、異能者は経済や国防に多大な貢献をしたことで裕福な生活をしていた。
しかし、異能を持つのは、人口の二割程度でそれ以外の者達は、貧しい生活を強いられたことから異能者への反発が強くなる。
結果、国内で無駄な争いを行わないために異能者は次第に姿をひそめて暮らすようになり、現代では異能と呼ばれる力は表からは完全に姿を消した。
ところが――裏社会では今なお、異能を持つ者たちが生きている。

ごく稀に、表社会に生きる人々の中から、異能の片鱗を持つ女性が誕生する。
けれど、彼女たちの存在は絶対に表に出ない。
なぜなら――多額の資金援助と同時に、裏社会の権力者と結婚することが決まっており、口外を禁止されているからだ。

彼女たちの多くは、この力を持ってしまったことで裏社会の繁栄のために嫁がされる。

だが――。

「嬉しいねぇ。お嫁さんの方から来てくれるなんて」

幸せな生涯を送ることもある。
日本全域に名を知られる極道、鷹宮組の鬼道樹(きどうたつき)が、家族から冷遇されてきた西崎蘭(にしざきらん)に惜しみない愛を注ぐように――。