能面令嬢と闇の当主 〜愛のない契約結婚のはずでした〜


☆☆☆

医療隊で処置を終えた三日後。
今日は、朔と二人で治安会へ向かう。
というのもーー。

「藤乃嬢なら、何か導けるかもしれない。彼女に話しておくから、三日後にまた来てもらえませんか」

護から提案されたからだ。

(藤乃様…一体、どのようなお方なのかしら…)

分かっている事は、女性という事。
そして、『涙の治癒師』という異名を持つほどに凄い治癒の異能を使う事。
考え事をしていると、ついぼんやりする時間が増えてしまう。

「白花様」
「はっ…はい」

治安会へ向かう道の途中、異変に気付いた朔が声をかけると彼女の体は大きく跳ねた。
その反応に、朔も目を見開いた。

「申し訳ありません。驚かせるつもりはなかったのですが」

少し頭を下げる彼に、首を横に振った。

「い、いえ…私、ぼーっとして…申し訳ありません」
「お辛いですか? それなら、無理をせず休みましょう」
「いえ…そうではなくて…」

小首を傾げる朔。

「藤乃様って…どのようなお方なのかなって。清谷様が、医療隊に協力する事もある涙の治癒師って…みなさんが彼女の話をする時も、とても誇らしそうで。そんなお方に、私なんかがお会いしても…ご迷惑になるのでは…」

自信の無さから声が震えた。
しかし、朔は不思議そうに口を開いた。