能面令嬢と闇の当主 〜愛のない契約結婚のはずでした〜


「えっと、変な事をしたから…?」

恐る恐る仁美に尋ねた。
しかし、思っていた事と違う答えに「ふふっ」とまた笑みが増え、白花は視線を正面に戻した。

(…笑われてしまったわ)

内心落ち込み座っている膝の上で手をもじもじと動かせば、笑うのを止める仁美。

「ごめんなさい。あまりにも分かりやすくて…つい。ふふっ」
「分かりやすい…ですか?」

仁美の言葉に思わず聞き返した。
能面令嬢と揶揄され、感情が分からないと気味悪がられてきた白花にとって、その言葉はこれまで聞いたことのないものだった。
仁美の言葉は、今まで投げられた事とまるで逆だった。

「えぇ。言われませんか? 昨日お会いしたばかりの私でも、分かりやすいからてっきり」
「いえ…初めて言われました」
「あら、私の見当違いでしょうか。朔さんは、どうです?」

突然仁美に聞かれると、朔はピクと反応した。

「…まぁ、全てが分かるというわけではありませんが。ある程度なら」

歯切れ悪く答えると、仁美はまた笑みをこぼした。

「ふふっ。やはり…昨日はとても緊張しているように見えましたけれど、良かった。今日はそうでもなくて」

これまでとまるで違う反応に、白花は戸惑うばかりだ。