「ただいま…人前で坊ちゃんはよしてくれ」
「これはこれは…失礼致しました…っ」
頭を下げたままの女中に言えば、言葉を放ちながら顔を上げる彼女達。
客人に挨拶をしようと朔の隣にいる白花を視界に捉えると、息を飲んだ。
「…当主様。そちらは?」
挨拶をする事なく、朔に尋ねる女中。
「妻だ」
「…?」
朔が短く告げると、女中達はお互いに顔を見合わせた。
「えっと…申し訳ございません。私達、婆婆なものでして…もしかして『妻』とおっしゃいました?」
再度朔に尋ねれば、小さくため息を吐いた。
「そうだ。妻、と申した。名は白花と言う」
「初めまして。白花と申しますーー」
「まあああああっ! 坊ちゃんが…奥様を…! 婆婆の知らない間にご結婚なさったのですか!?」
白花が挨拶を終える前に、ぱぁあああっと表情が明るくなり白花にキラキラと目を輝かせて距離を詰める女中達。
白花は圧倒され、背を後ろへ逸らした。
「奥様、お名前は!?」
「いやね、さっき白花様っておっしゃってたじゃない! まぁまぁまぁ…! 可愛らしいお嬢さんだこと…」
「ちょっと、今から晩御飯作り直さないと! こんなめでたい日、ご馳走よ!?」
白花の返事を聞く前に、前のめりになる女中達。

