「まぁまぁ。よろしいではありませんか。それより、先程帝がおっしゃっていた指南役…どなたか心当たりはございますか?」
「んー…命の加護…治癒って事だろ?」
「治癒の異能が使える方…元々少ない逸材で、さらに桜庭様の指南役まで務められるほど博識な方…」
大と富美が考え込んでいると、朔が口を開いた。
「あの、一人適任がいます。恐らく、帝がお声がけするとは思いますが」
「えっ…? そのような方…あっ」
朔の発言に、富美が首を傾げたが思い当たる人物が一人浮かび上がった。
しかし、苦い顔をした。
「アイツかー…」
大さえ、渋い顔をして尋ねる前から難色を示した。
「えぇっ…?」
仁美が二人を交互に見て、小首を傾げた。
「帝都一の頭脳を持つと言われ、『歩く書物庫』と呼ばれる人がいるではありませんか」
「あぁっ…! 護さん…! 嫌だわ、お話しすることもあるのに忘れちゃうなんて」
皆の反応と対照的に思い出してスッキリとした顔をする仁美。
仁美は胸の前で手を合わせ、ぱっと表情を明るくした。
「大丈夫ですよ」
「えっ…?」
「だって、白花さんって彼の『研究対象』にピッタリですからっ」
そう言って白花にニコリと微笑む仁美。
白花は話についていけず、ただ立ち尽くすことしかできなかった。
(これから…どうなるというの…?)
一抹の不安を残していた。

