能面令嬢と闇の当主 〜愛のない契約結婚のはずでした〜


「まったく…自分の思惑にならなくて面白くないんだな」

大は肩をすくめた。

「えっ…?」
「だって、白花ちゃんが桜庭家の人間のままなら処分できたかもしれないけど、黒宮殿の妻とした…つまり、桜庭家の人間でなくした。帝が、自分の考えを否定したと思ってるんだ。元々真面目にやってきてる男だが、ここ最近は肩に力が入りすぎてる」

乾いた笑みを浮かべながら答えた。

「でも…私も不知火様の意見、わかりますわ。私達は皆、国の為に務めていますの。それなのに、国益でなく自分の為だなんて…私達がしてきた事を否定しているようですもの」

唇を尖らせながら呟けば、庭の池がぶくぶくと泡立った。

「オレは白花ちゃんがそんな事すると思わないけどな。知らないうちに加護を継承してたと思う。富美は、今日会ったばっかだけど、白花ちゃんがそういうことすると思うわけ?」
「っ…! わ、私は…! 不知火様の意見が分からなくないと言っただけで…! 桜庭様の事を酷く申したつもりは…!」

大にぐいっと顔を近付けられると、富美の顔は真っ赤になった。
池の水が沸騰し、激しく揺らいでいる。