「もしかしたら、先天的なものやもしれんな」
「先天的…?」
帝の言葉に大が繰り返した。
「桜庭家のように、継承者を代々女性に限っている一族では、知識が教えずとも受け継がれることがある――そう聞いたことがある。私は異能を持たないから深くは語れん」
帝が首を横に振りながら言うと、白花には当てはまる事があった。
それは、心の内では『できない』と思っているのに、いざ対象を目の前にすると自然と励まし、治ると念をかけているからだ。
(いつも不思議だった…私なんかにできるわけない。そう思っているのに、いざ目の前にすると…私ではない誰かが、私の体を動かしているような…)
ぼんやりと考えながら自身の手をじっと見つめた。
「…聞いているのか」
「えっ…」
正の棘のある言い方にハッとすれば、呆然としていたことに気付き頭を下げた。
「よい。立て込み続きで疲れているのであろう。今日はこれで以上にする。白花の指南役の適任は私も探してみる」
帝が先に部屋を出ると、皆が深々と頭を下げた。
つられて白花も頭を下げた。
「おい。どこへ行く、正」
「その娘に手を貸す義理はない。キミ達で勝手にやってろ」
正はそれだけ告げると部屋を去った。

