能面令嬢と闇の当主 〜愛のない契約結婚のはずでした〜


「まーまー! 落ち着けって! 宗介も。そう黒宮殿をからかってやるな! なっ?」

静かに火花を散らす二人の間に、豪快に笑いながら止めに入る剛力。
橙色のオーラを纏うと、黒宮の黒い靄を一気に払い飛ばした。

「申し訳ありません、剛力様」

先に宗介が謝ると、納得いかない表情で顔を逸らす黒宮。

「んじゃあ、向こうに二人縛ってるから。合わせて三人な。あとは、特務隊でなんとかしてくれ!」
「三人も…我々が到着する前に、解決してしまうとは見事なお手前です」

剛力が指差す方向に、気を失って木に縛り付けられている二人の男を見て目を丸くしながらも称える宗介。

「治安を守ると掲げておきながら、今頃になって出てきて…民を守るという職務を怠慢してどうする」

宗介に冷たく言い放てば宗介はニコニコと笑みを浮かべたまま、口を開いた。

「加護者を守る御三家でありながら、加護者に守られている奴が何を言いますか?」

再び火花が散ろうとした瞬間、「がーっはっはっはっ!」と剛力が豪快に笑った。

「お前らはほんと仲良しな! でも…お嬢ちゃんが怯えてる。それくらいにしとけ」

白花の方をちらりと見て、剛力が二人を牽制した。
その視線は、先程までの気さくな雰囲気はない。
豪快な笑顔とは裏腹に、その眼差しだけは冷え切っていた。