「うおっ! すっげ! やっぱり命の加護者だ!」
「…えっ?」
剛力の嬉々とした声にゆっくりと目を開け、彼の腕を見て声が漏れた。
先程まで血が出ていた傷が完全に塞がっていたのだ。
「うそ…」
桜庭家の恩恵と思っていた力が、桜庭家の敷地から出て使えた事に驚き自身の手をじっと見つめた。
「やはり、俺の察知に間違いはありませんでした。ご令嬢、これから…っ」
黒宮の背後からザッと土を踏む音が聞こえた。
そこには全身黒の隊服に身を包んだ男が薄ら笑いをしていた。
突然現れた男の方を向き、ギロリと鋭く目を光らせる黒宮。
「おやおや…これはまた、随分と派手にやってくれましたね。黒宮様?」
「…服部」
男はへらりと軽く笑いながら、泡を吹いて気絶している男を一瞥した。
「気配を消して背後に立つな。気味の悪い」
「異能力最強の御三家様の一角である黒宮様が、そんなことおっしゃらないで下さいよ。これくらいなら、察知できると思ったのですが…麗しいご令嬢との会話に花を咲かせて注意が怠ったかな?」
くすくすと嫌な笑みを浮かべる男。
男が揶揄すれば、黒宮の全身から黒い靄が放出された。

