「間違いない…この娘だ」
「あの…っ! がはっ…!」
一人の男が瞳を赤くさせ、白花を吟味した。
(赤い瞳…? まさか、異能…?)
状況が読めなかったが、男の目の赤さが引いた瞬間ーー白花は息ができなくなった。
男の一人が白花の口と鼻を水でできた大きな手で押さえつけた。
突然のことに、水が口の中に入りごぽごぽと溺れた状況に陥った。
「このまま殺してーー加護を頂く!」
意識が遠のき、手に持ったおにぎりがぽろんと地面に転がった。
「させるかぁっ!!」
意識が途切れそうになった瞬間、遠くから雄叫びが微かに聞こえた。
「うおぉっ!?」
白花の呼吸を奪っていた男が苦悶の声を上げると、手を離した。
「こほっ…かはっ…!」
咳き込む白花が草むらに横たわりそうになった瞬間、サッと支えこむ男。
「ご令嬢、聞こえますか」
そう尋ねても、水が器官に入り込み返事ができず悶える白花。
「そのお嬢ちゃん…黒宮殿。アイツらはオレに任せな! その嬢ちゃんを守ってやれ! それがアンタ達ーー御三家の任務だろ?」
前線に立つ男が黒宮に言い放つと、全身に橙色のオーラを纏った瞬間、砂埃が舞い上がる。
地面を蹴り、三人の男達へ一直線に突っ込んでいった。
「はい。かしこまりましたーーご令嬢…ご令嬢っ…!?」
先程まで咳き込んでいた白花だが、ぴくりとも動かなくなった。
飲み込んだ水が気道に入り込み、白花の呼吸は急速に弱まっていく。

