【Web版】無華の花嫁2~花開く乙女は、お妃教育の先で黒薔薇の殿下に溺愛される~

本当に、この美しい手も、熱も、眼差しも、私だけのものなのだろうか。

私が少しでも怯えの色を見せると、暁臣様はすぐに気づき、こうして私を繋ぎ止めてくださる。
そのたびに、胸の中の糸がほどけて、代わりに別の結び目が増えていく気がする。
どうしたら、この手を離さずにいられるのだろう。

誰にも愛されたことがなく、誰にも必要とされなかった私には、誰かに縋る術も、繋ぎ止める術も、想像すら及ばない。
——それでも。
この温もりを知ってしまった以上、私はもう、戻れない。

せめて、暁臣様の邪魔をしないように。これ以上、ご迷惑をおかけしないように。
そんなことばかりを考えてしまう私は、今でもあの暗い蔵の中で、膝を抱えて蹲っていた時の自分から、少しも変われていないような気がして——。

寄る辺のない私の肩を、暁臣様の腕がより強く、独占するように抱きしめた。
抱きしめられた場所が熱くて、そこだけが、この世界に繋ぎ止められているみたいだった。