【Web版】無華の花嫁2~花開く乙女は、お妃教育の先で黒薔薇の殿下に溺愛される~

短く遮られ、喉がきゅっと縮む。
けれど、止まらない。
謝る以外の言葉が、見つからない。

「夜もずっと、筆を動かしていたな?すみれがしたいようにさせたいと思い、何も言わずにいたが……」

喉が焼けるように熱い。
また、私なんかのために、貴重なお医者様を呼ばせてしまった。
診察代は、お薬代は、いったいいくら掛かってしまったのだろう。

そのうえ、暁臣様に看病までさせてしまうなんて。
私を想って篠塚様を呼んでくださった厚意を、ただ台無しにしただけではなく、恥までかかせてしまったのではないか。
胸の奥がぐちゃぐちゃになって、息が苦しい。

「なぜ、我慢する」

暁臣様の声に、これまでにない鋭い色が混じる。
その一言で、身体がびくりと跳ねた。

「なぜ、俺に何も言わない。……なぜ、もっと早く頼らないんだ」

我慢……。
我慢って、なんだろう。
私は、我慢なんてしていたのだろうか。
どこまでが耐えるべきことで、どこからが声を上げるべきことなのか。
その境界線さえ、私にはわからない。

だって、これまでの人生、どんな理不尽だって、私が飲み込むのが当たり前だったから。
頼るなんて、何をどうやって言葉にすればいいのかも知らない。
もし今していることが『我慢』なのだとしたら、それは私が息をするのと同じくらい、当然に繰り返してきた生存の術なのだ。

『無華』で何の価値もない私が、誰かに甘え、頼ることで、これ以上の迷惑をかけてしまったら?
もし、その図々しさを嫌われて、捨てられてしまったら……?
——その恐怖に比べれば、身体の痛みや心の摩耗など、取るに足らない。
そう思ってしまうくらい、私は怖い。