【Web版】無華の花嫁2~花開く乙女は、お妃教育の先で黒薔薇の殿下に溺愛される~

——え……。
暁臣様は『ゆっくりで構わない』と仰ってくださったけれど、元旦までは、もう七カ月ほどしかない。
その短期間で、この無知な私が、宮中の洗練された方々と肩を並べられるほどに成長できるのだろうか。
息が浅くなる。
胸の奥が、冷たくなる。

「その前には、茶会にも一回か二回は出ることになる。すみれをお披露目できるのが楽しみだ」

そんな……。
あの園遊会でさえ、押し寄せる視線の重圧と疲労から、戻ってきてすぐに倒れて寝込んでしまったと言うのに。

茶会に、そして祝賀会。
間違いなく、私はまた『無華』である証拠のこの瞳を、多くの人々の好奇の目に晒すことになる。
想像しただけで、指先から血の気が引き、背筋に冷たい戦慄が走った。
身体が固くなり、食器の音さえ怖い。

けれど……逃げるわけにはいかない。
暁臣様の隣にいたい。
私に触れて、愛を囁いてくれる彼のこの手を、絶対に手放したくない。
そのためには、私が変わらなければならないのだ。

心のざわめきを無理やり抑え込むように、私は膝の上で、すみれ色のワンピースの布地をぎゅっと固く握りしめた。
掌に残る温もりが、消えないうちに。
『逃げない』と決めた証を、ここに刻みつけるみたいに。