毒婦の嫁入り~妹に騙された姉は、呪われた軍神の契約花嫁として求められる~

初夜以降、何度褥を共にしただろう。
それでも、食事を共にすることはない。昼間に顔を合わせることもほとんどない。
何度閨を共にしても、口付けも、甘い睦言もない。
それは、子を成すだけのための契約での結婚であると、改めて私に突きつけられた事実なんだと実感させられた。

一条の屋敷は、安土の屋敷よりもずっと広かった。
廊下は長く、庭へ面した障子の向こうからは、夜になると冷えた空気がしみ込んでくる。
嫁いで数日は、その広さがただ恐ろしかった。誰も私を怒鳴らない。誰も私を責めない。けれど、誰も私がここにいていいのだとも言わない。

朝、目を覚ますと、旦那様の姿はすでにない。
褥にはまだ熱が残っているのに、私の隣だけが空いている。
夜ごと肌を重ねる相手でありながら、朝になればまるで夢の中の出来事だったように、旦那様は私の前から消えてしまう。

何も感情を持たないまま抱かれることに、旦那様に対しても、それ以上に自分に対して嫌悪感が募っていく。