私の手を引くこの方の元に嫁いだのは、桜が舞い散る季節だった。
その散り様が、まるで私のこれからを表していると感じた。
あれから季節は変わり、鮮やかに色づく紅葉を見上げ、歩みを止める。
「深幸……?」
私の手は繋いだまま、旦那様が振り向く。
繋がれた指先から伝わる体温が、いつからかとても愛しいものになっていた。
「旦那様……」
私のことを毒婦として求めたこの人が、お上に逆らってまで私を守ってくれた。
紛れもないその事実が、私とこのお腹の子を守ってくれた。
「遅くなりましたし、順番もおかしいのですが……契約ではなく、ちゃんとした夫婦になれませんか」
繋いだ手に、そっと力を込める。
旦那様の瞳が、大きく揺れた。
「この子のためにも、そうしたいです。でも、それだけではありません。毒婦と言われた私ですが、それでも……あなたの妻になりたいのです」
胸が熱い。喉が震える。
けれど今、言わなければいけない。
二人の間に風が吹き、赤い葉が舞い落ちる。
一枚が、旦那様の頬をかすめて落ちていった。わずかにその頬に、葉の色が移ったように見える。
「……毒婦でないことは、とうの昔に気が付いていた」
「え……?」
「当然だろう。何度閨を共にしたと思っているんだ」
「っ……そんな、数えてなど」
思わず、最後に抱かれた夜のことを思い出し、目線を逸らす。
逸らした先で、旦那様が繋いだ手をそっと持ち上げ、指先に唇を寄せるように俯いた。
「初夜の態度もそうだ……何より、その……初めてだったのだろう」
そう言うと、旦那様は空いている腕で顔を隠すように覆う。
今度は見間違いではない。隠された顔は、紅葉以上に赤く染まっている。
「言ってくだされば……」
「言えるわけがない……自ら毒婦だと名乗るお前に、心を奪われていたなど」
「……それでも、私は悲しかったです……」
「ああ。すべて俺が悪い。本心を知られまいとして、酷い言葉を投げかけた。お前が傷つくと分かっていながら」
その散り様が、まるで私のこれからを表していると感じた。
あれから季節は変わり、鮮やかに色づく紅葉を見上げ、歩みを止める。
「深幸……?」
私の手は繋いだまま、旦那様が振り向く。
繋がれた指先から伝わる体温が、いつからかとても愛しいものになっていた。
「旦那様……」
私のことを毒婦として求めたこの人が、お上に逆らってまで私を守ってくれた。
紛れもないその事実が、私とこのお腹の子を守ってくれた。
「遅くなりましたし、順番もおかしいのですが……契約ではなく、ちゃんとした夫婦になれませんか」
繋いだ手に、そっと力を込める。
旦那様の瞳が、大きく揺れた。
「この子のためにも、そうしたいです。でも、それだけではありません。毒婦と言われた私ですが、それでも……あなたの妻になりたいのです」
胸が熱い。喉が震える。
けれど今、言わなければいけない。
二人の間に風が吹き、赤い葉が舞い落ちる。
一枚が、旦那様の頬をかすめて落ちていった。わずかにその頬に、葉の色が移ったように見える。
「……毒婦でないことは、とうの昔に気が付いていた」
「え……?」
「当然だろう。何度閨を共にしたと思っているんだ」
「っ……そんな、数えてなど」
思わず、最後に抱かれた夜のことを思い出し、目線を逸らす。
逸らした先で、旦那様が繋いだ手をそっと持ち上げ、指先に唇を寄せるように俯いた。
「初夜の態度もそうだ……何より、その……初めてだったのだろう」
そう言うと、旦那様は空いている腕で顔を隠すように覆う。
今度は見間違いではない。隠された顔は、紅葉以上に赤く染まっている。
「言ってくだされば……」
「言えるわけがない……自ら毒婦だと名乗るお前に、心を奪われていたなど」
「……それでも、私は悲しかったです……」
「ああ。すべて俺が悪い。本心を知られまいとして、酷い言葉を投げかけた。お前が傷つくと分かっていながら」



