毒婦の嫁入り~妹に騙された姉は、呪われた軍神の契約花嫁として求められる~

隆弘様が思わず声を上げた。
その声で、花乃のお腹の子の父が誰であるのか……わかってしまった。
花乃の顔から血の気が引く。父が呻くように名を呼び、母はその場に崩れ落ちそうになった。

「ち、違うの……わたくしは……」
「違わん。その腹の中の子は、俺の子ではない」

旦那様が冷たく告げると、花乃はふらりと後ずさった。

「お姉様が……お姉様が悪いのよ。お姉様ばかり、いつも……!」
「私は、あなたのお腹の子を責めるつもりはないわ」

自分でも意外なほど、声は震えなかった。
花乃が、ぎょっとしたように私を見る。

「けれど、その子を嘘の道具にしたあなたを、私は許せない」

花乃の唇がわななき、何かを言おうとした。けれど、その前にお上の声が落ちてくる。

「ふむ。不愉快だ。偽りの娘は今すぐ下げよ。真の御子の儀を進める」

真の御子。その言葉に、背筋が凍った。
花乃が偽りだと暴かれても、お上にとってはどうでもいいのだ。使える血であれば使う。違えば捨てる。ただそれだけ。

私の子も、同じように見られている。
旦那様が一歩、私の前に出た。

「その儀は受けかねます」
「斎」