正式に、授ける。
その言葉に、息が詰まった。私のお腹の中で小さく動くこの子が、まだ生まれてもいないのに、もう逃げ道を塞がれようとしている。
旦那様の手に、かすかに力がこもった。
白い布を掛けた台が運ばれてくる。その上には、鏡と、細い筆のような神具、そして黒く光る小さな盃が置かれていた。
神職が私の前に膝をつく。
「奥方様、御子の御印を」
衣を脱がされるわけではない。白打掛の上からでも、宿し紋の気配を見るための儀なのだと聞かされている。
けれど、身を差し出せと言われているようで、喉がきゅっと狭くなった。
「待ってくださいませ!」
その時、甲高い声が御前の間に響いた。
誰もが振り返る。
立ち上がっていたのは花乃だった。父が慌てて袖を掴もうとするより早く、花乃は一歩、また一歩とこちらへ進み出る。
「わたくしにも、その儀を受ける資格がございます」
「花乃、何を」
隆弘様が青ざめた顔で名を呼ぶ。けれど花乃は振り向きもしなかった。
頬を紅潮させ、震える手を自分の腹に添える。その仕草だけで、御前の間がざわめいた。
「わたくしも、身籠もっております」
その言葉に、息が詰まった。私のお腹の中で小さく動くこの子が、まだ生まれてもいないのに、もう逃げ道を塞がれようとしている。
旦那様の手に、かすかに力がこもった。
白い布を掛けた台が運ばれてくる。その上には、鏡と、細い筆のような神具、そして黒く光る小さな盃が置かれていた。
神職が私の前に膝をつく。
「奥方様、御子の御印を」
衣を脱がされるわけではない。白打掛の上からでも、宿し紋の気配を見るための儀なのだと聞かされている。
けれど、身を差し出せと言われているようで、喉がきゅっと狭くなった。
「待ってくださいませ!」
その時、甲高い声が御前の間に響いた。
誰もが振り返る。
立ち上がっていたのは花乃だった。父が慌てて袖を掴もうとするより早く、花乃は一歩、また一歩とこちらへ進み出る。
「わたくしにも、その儀を受ける資格がございます」
「花乃、何を」
隆弘様が青ざめた顔で名を呼ぶ。けれど花乃は振り向きもしなかった。
頬を紅潮させ、震える手を自分の腹に添える。その仕草だけで、御前の間がざわめいた。
「わたくしも、身籠もっております」



