「必ず、何とかする」
「旦那様」
「お前と子だけを、このまま差し出すつもりはない」
その声は静かだった。
けれど、静かだからこそ、深いところまで届いた。
私は重ねられた手を見つめる。
大きな手。
剣を握り、お上に仕え、軍神と呼ばれる人の手。その手が、今は私とお腹の子の上にある。
「旦那様は、ご自分のことを考えていらっしゃいますか」
「俺のこと?」
「はい。誓痕が旦那様に戻れば、またお苦しみになるのでは……」
旦那様の表情が、ほんのわずかに曇る。
「それは、俺が背負うべきものだ」
「違います」
思ったよりも強い声が出た。
「それは、違います。旦那様だけが背負えばいいものではありません。少なくとも、今は……」
言葉が喉でつかえる。
私は、何を言おうとしているのだろう。妻だから、と言いたかったのか。
けれど私はまだ、本当の意味でこの人の妻になれているのだろうか。
迷っていると、旦那様が目を細めた。
「今は?」
「……今は、私も一条の奥方ですから」
そう言うのが精一杯だった。
旦那様はしばらく私を見つめ、それから静かに息を吐いた。
「そうだったな。お前は、一条の奥方だ」
声が、少しだけやわらかい。
その一言を聞くだけで、胸が熱くなる。
私は、腹の上に重ねられた手を、そっと握った。
「旦那様」
「お前と子だけを、このまま差し出すつもりはない」
その声は静かだった。
けれど、静かだからこそ、深いところまで届いた。
私は重ねられた手を見つめる。
大きな手。
剣を握り、お上に仕え、軍神と呼ばれる人の手。その手が、今は私とお腹の子の上にある。
「旦那様は、ご自分のことを考えていらっしゃいますか」
「俺のこと?」
「はい。誓痕が旦那様に戻れば、またお苦しみになるのでは……」
旦那様の表情が、ほんのわずかに曇る。
「それは、俺が背負うべきものだ」
「違います」
思ったよりも強い声が出た。
「それは、違います。旦那様だけが背負えばいいものではありません。少なくとも、今は……」
言葉が喉でつかえる。
私は、何を言おうとしているのだろう。妻だから、と言いたかったのか。
けれど私はまだ、本当の意味でこの人の妻になれているのだろうか。
迷っていると、旦那様が目を細めた。
「今は?」
「……今は、私も一条の奥方ですから」
そう言うのが精一杯だった。
旦那様はしばらく私を見つめ、それから静かに息を吐いた。
「そうだったな。お前は、一条の奥方だ」
声が、少しだけやわらかい。
その一言を聞くだけで、胸が熱くなる。
私は、腹の上に重ねられた手を、そっと握った。



