夜明け前、ふと目が覚めると、障子の向こうが白み始める前の、冷たく薄い時間。
旦那様の腕は、まだ私の背に回されていた。
起こさないように息を潜めていると、髪に何かが触れた。
指先がそっと、私の髪を一房だけすくい上げ、すぐに離す。
眠っているふりをしたまま、私は動けずにいると、旦那様の吐息が、額の近くで止まる。
触れられるのかと思ったけれど、何も起こらない。
「……契約だと言ったのは、俺だったのに」
かすれた声が、耳のすぐ上で落ちた。
私は目を開けられない。
その言葉の意味を考えるのが怖かった。
少しして、旦那様は静かに腕をほどき、褥から離れていく。
残された温もりだけが、いつまでも背中に残っていた。
旦那様の腕は、まだ私の背に回されていた。
起こさないように息を潜めていると、髪に何かが触れた。
指先がそっと、私の髪を一房だけすくい上げ、すぐに離す。
眠っているふりをしたまま、私は動けずにいると、旦那様の吐息が、額の近くで止まる。
触れられるのかと思ったけれど、何も起こらない。
「……契約だと言ったのは、俺だったのに」
かすれた声が、耳のすぐ上で落ちた。
私は目を開けられない。
その言葉の意味を考えるのが怖かった。
少しして、旦那様は静かに腕をほどき、褥から離れていく。
残された温もりだけが、いつまでも背中に残っていた。



