その夜、旦那様はいつもより荒かった。
痛いほどではない。けれど、触れる手に余裕がない。
まるで私を抱いているのではなく、何かを振り払おうとしているようだった。
「毒婦に……この俺がっ……」
低く漏れた声。
時折、旦那様は私を抱きながら、私を毒婦と呼ぶ。
毒婦と罵りながらも、子を成すためだけに私を抱く。なんという滑稽な行為なんだろう。
それでも、それに縋ることで、家に戻らないで済むことに救われている自分がいることが、より滑稽だ。
温かい部屋。やわらかな寝巻き。厚い足袋。
ひとつひとつは、確かに私に向けられたものだった。
それでも、旦那様は私を妻とは呼ばない。
名を呼ぶこともない。
それなのに、夜が明ければ火鉢を増やし、足袋を替え、身体を冷やすなと命じる。
だから、勘違いしてはいけないのだ。
あれは優しさではなく、契約を果たすための配慮。
そうでなければ、私はまた傷ついてしまう。
痛いほどではない。けれど、触れる手に余裕がない。
まるで私を抱いているのではなく、何かを振り払おうとしているようだった。
「毒婦に……この俺がっ……」
低く漏れた声。
時折、旦那様は私を抱きながら、私を毒婦と呼ぶ。
毒婦と罵りながらも、子を成すためだけに私を抱く。なんという滑稽な行為なんだろう。
それでも、それに縋ることで、家に戻らないで済むことに救われている自分がいることが、より滑稽だ。
温かい部屋。やわらかな寝巻き。厚い足袋。
ひとつひとつは、確かに私に向けられたものだった。
それでも、旦那様は私を妻とは呼ばない。
名を呼ぶこともない。
それなのに、夜が明ければ火鉢を増やし、足袋を替え、身体を冷やすなと命じる。
だから、勘違いしてはいけないのだ。
あれは優しさではなく、契約を果たすための配慮。
そうでなければ、私はまた傷ついてしまう。



