神様もびっくり! 偽装カップル生徒会のスーパーラブ・レボリューション

 
 アタシ、京野ハル、十六歳。

 今、生徒会役員立候補討論会のステージ上にいます。

 それはいいんだけど。だって、月城冴先輩と瀬戸陽向先輩に立候補するって約束しちゃったし。

 そもそも怜が『内申点』と言う言葉に目がくらんだのがいけないんだから。

 でも。

 でも……

 どうしてこうなったあ!


「さあさあ皆さん、盛り上がってるー!?」

 桜羽夏鈴現会長がマイク片手にステージを跳ね回る。
「新入生のフレッシュな二人に、エールを送るわよ!
 私が『ハル&レイ』って言ったら、みんなは『フォーエバー!』って叫んでね!」

「えっ、ちょ、なにそれ!?」

 アタシが慌てる間もなく、先輩が叫ぶ。
「未来の生徒会へ愛をこめてー! ハル&レイ!」

『フォーエバー!!』  地鳴りのような声。
 校長先生、ジャンプしながら叫んでるし。

「聞こえなーい! もっと愛をちょーだい! ハル&レイ!」
『フォーエバー!!』

「ラストォ! 二人の愛はー!?」
『不滅ぅぅぅ!!』

 とまあこんな風に、アタシと怜が簡単なあいさつをしてると、夏鈴先輩のリードでコール&レスポンスが始まって。
 制服姿の校長先生が音頭をとって女子生徒と一緒に『ハル&レイLOVE!』て描かれた推しうちわとサイリウムを振ってるし……

 そして。
 やな予感はしていたが……

 なんでここでキーボード弾きながら歌わなくちゃいけないの?
  →元軽音部の『サポートスタッフ』が、バックで伴奏つけてくれるから。

 なんでここで怜と一緒に踊らなくちゃいけないの?
  →元ダンス部の『サポートスタッフ』が、バックダンサーをしてくれるからって。

 結局、生徒会役員の立候補は、月城冴・瀬戸陽向の先輩ペアと、アタシ、京野波瑠・一条怜ペアの二組だけだった。
 なら、当選確実だし、歌って踊る意味なんてないじゃんって思うんだけど。

「これも、生徒会活動の始まりだと割り切ってお願いしたい」
 と、冴先輩にゴリ押しされてしまった……

 アタシと怜は、立候補演説の原稿を考える代わりに、作詞作曲の時間を費やし、この日を迎えた。
 J-POP調のキャッチーで疾走感のあるデジタル・ポップロック調に仕上げたつもりだ。

 ドラム奏者がスティックを叩く。
 ああ、イントロが始まってしまった。
「……もう、帰りたい」
「諦めろハル……歌とダンス、入るぞ!」


アーティスト:京野波瑠 一条怜
「未完成ディスカバリー」
作詞・作曲:京野波瑠   振付:一条怜
------------------------------------------------------------
♪♪♪~ (J-POP・デジタルロックポップ)調

【Aメロ】

(ハル)
どんな愛を 求めればいいの?
マニュアルなんて どこにもないよね?
だからアタシは このステージを選んだよ

(怜)
誰もがまだ 答えを持たない
手探りの日々を 変えたくて
僕ら二人の 最初の一歩を刻むんだ

(ハル・怜)
チクタク チクタク 動き出すボクらの時間
ドキドキ ドキドキ 打ち鳴らすアタシの鼓動


【Bメロ】

(ハル)
一見おっとり のんびりガール?
でもね いざとなったら全力投球!
やるときはやるのが アタシのポリシー

(怜)
一見ガリ勉 お堅い事務方?
だけど 銀縁メガネを外したら
歌って踊れる クールなイケメン?

(ハル・怜)
こんなデコボココンビだけど
みんなと一緒に オーバー ザ レインボウ
明日の向こうへ 飛んでいきたいな

【サビ】

(ハル・怜)
響かせよう! 音があふれるキャンパスに
彩ろう! ボクら色のキャンバスを

(ハル)
きらきら 絵の具を溶かすみたいに
愛と笑顔を ぎゅぎゅっと詰め込んで

(怜)
創っていこう サグラダ・ファミリア
未完のままでもいい いつかを夢見て

(ハル・怜)
まだ見ぬ未来を 一緒に探そう
未完成ディスカバリー

~♪♪♪

 怜のダイナミックなジャンプが決まり、最後は二人が客席に向かって満面の笑顔でピースサインを掲げてフィニッシュ。

……体育館は割れんばかりの拍手に包まれた。

 こうしてアタシと怜は、夢のステージデビューを果たした。
 そして、想定外の生徒会デビューも。

 あとは、『恋のデビュー』を成就させるばかりだ。

 ……でもそれがこのあと、あんな驚きの展開になろうとは
 ……このときはまだ想像できなかった。