「声。変というか、ぶりっ子だよね!」
友人が気軽に発した言葉は、世間知らずの私に呪いをかけた。
声を出そうとすると、そのときの呪いで喉が詰まる。出そうになった音をグイと無理に下げて、口から出す。それは数年かかり、新しい私の声となった。新しい世界では私の声は、それ。少し低めだけど聞きやすい声、そう言われるとそれはそれで微妙な気持ちになり、巻貝のようにぐるぐると奥に奥に苦しい気持ちを貯めて、心の海底に沈めておく。
ある休みの日に、珍しく携帯が鳴り、咄嗟に電話に出る。
『はい!』
『…?ちょっと聞きたいことがあって…。』
『あ、ごめん。声違うよね。電話あってるから。ちょっと喉が…。』
急に出た電話。普段はチャットしか使わないから、なんだか、上手く声が下げられない。
『え、風邪引いてなかったじゃん。』
『…その、声変だから、いつもは低めの声で話すようにしてて。』
声を下げたいのに君と電話してるから。ドキドキして、いつものようにいかず、元の私の声が少し掠れるだけ。
『そうなの?かわいい声じゃん。〇〇みたいな歌とか似合いそう。』
君が言ったのは、その人にしかない世界観にかわいい声のシンガーソングライター。
『あ、じゃあ、また週明けな。』
私に言いたいことだけ言った君。ぷつりと切れたのは電話と呪い。
私はそのまま近くにあるカラオケ店に入る。マイクを持って歌ったのは君が言ってたシンガーソングライターが歌うラブソング。一人しかいない空間で、呪いの解けた声が君を想って響いた。
友人が気軽に発した言葉は、世間知らずの私に呪いをかけた。
声を出そうとすると、そのときの呪いで喉が詰まる。出そうになった音をグイと無理に下げて、口から出す。それは数年かかり、新しい私の声となった。新しい世界では私の声は、それ。少し低めだけど聞きやすい声、そう言われるとそれはそれで微妙な気持ちになり、巻貝のようにぐるぐると奥に奥に苦しい気持ちを貯めて、心の海底に沈めておく。
ある休みの日に、珍しく携帯が鳴り、咄嗟に電話に出る。
『はい!』
『…?ちょっと聞きたいことがあって…。』
『あ、ごめん。声違うよね。電話あってるから。ちょっと喉が…。』
急に出た電話。普段はチャットしか使わないから、なんだか、上手く声が下げられない。
『え、風邪引いてなかったじゃん。』
『…その、声変だから、いつもは低めの声で話すようにしてて。』
声を下げたいのに君と電話してるから。ドキドキして、いつものようにいかず、元の私の声が少し掠れるだけ。
『そうなの?かわいい声じゃん。〇〇みたいな歌とか似合いそう。』
君が言ったのは、その人にしかない世界観にかわいい声のシンガーソングライター。
『あ、じゃあ、また週明けな。』
私に言いたいことだけ言った君。ぷつりと切れたのは電話と呪い。
私はそのまま近くにあるカラオケ店に入る。マイクを持って歌ったのは君が言ってたシンガーソングライターが歌うラブソング。一人しかいない空間で、呪いの解けた声が君を想って響いた。



