白蛇様の溺愛

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 3日後、早朝から使用人に叩き起こされ、顔を洗い、髪を整え、豪華な着物に袖を通す。黒色の生地に大きな金の花が映える着物は華恋の白い髪によく似合っていた。どうやら御影家の会社のシンボルマークが黒色らしく、それに合わせたらしい。
 今日、華恋は初めて嫁ぎ先である御影家と会う。両家顔合わせを終わらせたあと、そのまま婚姻届を提出する手筈だ。
 使用人と共に玄関へ向かうと、両親と誠が準備を済ませて待っていた。一応今日の主人公である華恋が一番着飾られており、一番準備に時間がかかったのだ。
「姉ちゃんおそいよ」
「まあ、なかなか似合ってるじゃない。これなら御影家の方々のお眼鏡にもかなうはずよ」
 早めに準備を終えていたであろう誠は待ちくたびれたようで手にはゲーム機が握られていた。
 お母様は華恋を頭から爪先までじっと見つめた。納得のいく出来だったらしく、うんと大きく頷いて口笛を吹きそうなくらい上機嫌な様子で口紅を塗り直しだした。
 お父様も一瞬こちらをチラリと見たあと、ふいと視線をずらした。まぁ何も言われなかったということは、お父様のお眼鏡にもかなったのだろう。
 全員揃ったので、ようやく車に乗り込み御影家と待ち合わせしているレストランに向かう。
 華恋は車に乗るのも初めてだった。思わずきょろきょろと色々見渡してしまうが、お母様にはしたないと怒られてしまった。
 
 車に乗って数十分経った頃、レストランに着いたようで使用人が車の扉を開けた。
 誠やお母様達が順に車から降り、レストランに入っていく。豪華すぎる内装にまた思わず周りを見渡してしまい、またはしたないとお母様に怒られた。
 仕方がないじゃない。だって、レストランに来るのも初めてだもの……。
 内心文句を言ったものの、もちろん顔には出さない。先頭にいるお父様に着いていくと、レストランの中でも特に豪華で見るからにVIP用とわかる個室に入っていった。
 
 ……え、ここに入るの!?
 
 御影家との顔合わせなのだからそれなりに良い所に行くとは予想していたが、ここまでとは……。
 急に緊張してきた華恋は、背中に冷たいものが走った。
 しかし時は止まってくれない。お父様は静かにその扉を開いた。