ホラー
完
クマさん/著

- 作品番号
- 1775752
- 最終更新
- 2026/02/23
- 総文字数
- 15,648
- ページ数
- 6ページ
- ステータス
- 完結
- いいね数
- 0
あの大好きだった父とのキャンプ。
星空の下で食べた特製カレーの味を、僕は今も覚えている。
阿武隈川のほとりにある、僕らだけの秘密の場所「第4サイト」。
20年前、母さんがいなくなって少し寂しかった僕を元気づけるように、父さんはよく二人きりのキャンプに連れて行ってくれた。
パチパチと爆ぜる焚き火。川のせせらぎ。
几帳面な父さんが作ってくれる「男飯」はいつも特別だった。
あの日作ってくれたのは、スパイスの香りがたまらない、特製のしじみスープカレー。
「冷めないうちに食えよ」
優しい父さんの声。僕は嬉しくて、大きなスプーンで一口食べた。
――ジャリッ。
奥歯で、すごく硬いものを噛んだ。しじみの砂抜きを忘れたのかな?
痛くて飲み込んでしまった僕を、父さんは怒ることもなく、ただとても優しく、心の底からホッとしたような顔で見つめていた。
「間違えて飲んじゃった」
「……それでいいんだ。さあ、残さず食べなさい」
不器用で優しい父さんの、ちょっとした料理の失敗。
ずっとそう思っていた。27歳になった今、僕の身体に「異変」が起きるまでは。
最近、お腹の底から時々聞こえてくるんだ。
あの夜と同じ、「ジャリ……、ゴリ……」という、何かを噛み砕くような懐かしい音が。
父さんはあの夜、僕に何を「食べさせて」くれたのだろう?
それを知るために、僕はかつての記録を集め始めた。
ノイズの混じった古いカセットテープ、父が残したキャンプのレシピノート、そしてあの河原にまつわる少し不思議な噂たち。
これは、あの大好きだった「家族のキャンプ」の思い出を、複数の記録資料から紐解いていく調査報告書。
読み終えたとき、あなたもきっと、家族と囲む温かい食卓の記憶が蘇るはずです。
星空の下で食べた特製カレーの味を、僕は今も覚えている。
阿武隈川のほとりにある、僕らだけの秘密の場所「第4サイト」。
20年前、母さんがいなくなって少し寂しかった僕を元気づけるように、父さんはよく二人きりのキャンプに連れて行ってくれた。
パチパチと爆ぜる焚き火。川のせせらぎ。
几帳面な父さんが作ってくれる「男飯」はいつも特別だった。
あの日作ってくれたのは、スパイスの香りがたまらない、特製のしじみスープカレー。
「冷めないうちに食えよ」
優しい父さんの声。僕は嬉しくて、大きなスプーンで一口食べた。
――ジャリッ。
奥歯で、すごく硬いものを噛んだ。しじみの砂抜きを忘れたのかな?
痛くて飲み込んでしまった僕を、父さんは怒ることもなく、ただとても優しく、心の底からホッとしたような顔で見つめていた。
「間違えて飲んじゃった」
「……それでいいんだ。さあ、残さず食べなさい」
不器用で優しい父さんの、ちょっとした料理の失敗。
ずっとそう思っていた。27歳になった今、僕の身体に「異変」が起きるまでは。
最近、お腹の底から時々聞こえてくるんだ。
あの夜と同じ、「ジャリ……、ゴリ……」という、何かを噛み砕くような懐かしい音が。
父さんはあの夜、僕に何を「食べさせて」くれたのだろう?
それを知るために、僕はかつての記録を集め始めた。
ノイズの混じった古いカセットテープ、父が残したキャンプのレシピノート、そしてあの河原にまつわる少し不思議な噂たち。
これは、あの大好きだった「家族のキャンプ」の思い出を、複数の記録資料から紐解いていく調査報告書。
読み終えたとき、あなたもきっと、家族と囲む温かい食卓の記憶が蘇るはずです。
- あらすじ
- 大好きだった父との阿武隈川でのキャンプ。星空の下で食べた特製カレーの味を、僕は今も覚えている。
「冷めないうちに食えよ」
父が作ったしじみのスープカレー。奥歯で「ジャリッ」と硬い砂を噛んでしまった僕を、父はなぜか安堵した目で見つめていた。
あれから20年。最近、僕のお腹の底から懐かしい音が聞こえる。ジャリ…ゴリ…と何かを噛み砕く音が。
あの日、父は僕に何を食べさせてくれたのだろう?
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