星座が示す、144通りの恋

第140話 懐中電灯で近づく距離
(魚座君♂x蠍座ちゃん♀)

 朝練のあと、公園のベンチで、空気が少しひんやりしていた。並んで歩くと、いつもの道でも景色が少し変わる。
 付き合い始めてまだ数日、蒼汰は「それ、きれいだね」と笑い、結綺は「うん」と小さく返す。
 今日は探しものを見つける。二人の間に懐中電灯がそっと置かれていた。それが始まりの合図だ。
 やってみると、すぐに小さな困りごとが顔を出した。結綺が「ここ、引っかかる」と指さす。蒼汰は返事の代わりにうなずき、懐中電灯を手に取った。
 蒼汰は相手の言葉を受け止めてうなずく。力の入れ方を見せてから、結綺の手の上に自分の手をそっと重ね、「このくらい」と角度を示す。結綺は一点をじっと見つめて集中する、真剣な目で真似をした。
 うまくいった瞬間、結綺の口から「本気でやろう」がこぼれた。蒼汰は「でしょ」と笑い、でも目線は外して照れを隠す。二人の間に残ったのは、道具の音と、少し早い鼓動だった。
 結綺は歩きながら、ふと懐中電灯を見つめた。「これって、ただの道具なのにさ」と言いかけて止まる。蒼汰が「うん」と待つと、結綺は小さく笑い、「一緒に使うと、思い出になるね」と続けた。
 結綺は歩きながら、ふと懐中電灯を見つめた。「これって、ただの道具なのにさ」と言いかけて止まる。蒼汰が「うん」と待つと、結綺は小さく笑い、「一緒に使うと、思い出になるね」と続けた。
 帰り道、蒼汰は「次は結綺のやりたいことを先に聞く」と言った。結綺は少し考えてから、懐中電灯を軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の次の約束が、自然に浮かんだ。 結綺は笑ってうなずき、蒼汰の袖を軽く引いた。
【終】