私たちはその後も、沖縄随一の水族館見学を楽しんだ。
ジンベイザメはやっぱりとても大きくて、その迫力に思わず「おお」と感嘆の声を漏らした。
「前に律と来た時にね、ここでジンベイザメと写真を撮ったんだ」
ふと先生が律さんとの思い出を振り返る。私はこの旅の中で、先生に律さんとの旅を思い出して幸せな気持ちに浸ってほしいと思っていたので、胸がほっと温かくなった。
「ジンベイザメとのスリーショットですね。よかったら私とも撮りませんか?」
「うん、ぜひ撮ろう」
先生がにっこりと笑ってスマホをインカメラにして構える。ジンベイザメとのスリーショットは思いのほか難しく、「こっちこっち」「あ、右行った!」「もうちょっとアップで……」と試行錯誤しながらの撮影になった。それがおかしくて、私たちはコロコロとお腹を抱えながら写真を撮る。
「笑いすぎじゃない!?」
なんとかスリーショットを終えた写真を見ると、私も先生も笑いすぎて全然盛れてない。なんならちょっとピントがずれているし、ジンベイザメだけが澄ました顔をして泳いでいるのがおかしかった。
「まあこれも思い出ということで!」
「ははっ、確かに。そういえば律と撮った時もこんなんだったわ」
大好きな人とお別れして苦かった思い出も、細部まで振り返れば先生の中には幸せな断片が散らばっているのだ。
先生が懐かしそうに微笑むのを見ながら、私は心が温もる思いがした。
先生の中で律さんへの想いはまだ、線香花火の一番綺麗な瞬間みたいに、燃えている。
だからこそ先生は、この先の将来に踏みとどまっているのだ。
このままでは先生はきっと、律さん以外を好きになることはない。
その事実を突きつけられたようで、一層身が引き締まる。
「先生、次のエリアに進みましょう」
「え? うん。もうジンベイザメはいいの?」
「はい。十分です。それより早く行きましょう」
なんとなく気持ちが焦って、先生と共にジンベイザメエリアを後にする。
最後にたどり着いたのは『深海への旅』という深海魚コーナーだった。見たことのないような不思議な色、形をした魚たちを見て、私はまだまだ人生知らないことばかりだと思い至る。
「青葉ちゃん、大丈夫?」
深海魚に見入っていたからか、呼びかけても反応がない私を訝しがった先生が、私の顔を覗き込むようにして問う。
「は、はい。大丈夫です」
この後の予定のことを考えていると、どうしてもドキドキと緊張感が高まっていた。私の心中など知らない先生は、「深海魚って未知の世界って感じがしてワクワクするよね」と笑っていた。
「そうですね。ちょっと顔が怖い魚とか見るのが好きです」
「青葉ちゃんって意外と冒険家?」
「先生との旅を通して、そういう自分がいることを知りましたよ」
「それじゃ、私の功績大きいじゃん」
「そうですよ。先生のおかげです」
分かっているはずなのに、いちいち胸を張って嬉しそうにする先生がおかしい。
「先生、そろそろお腹空きませんか?」
「それ、私も言おうと思ってた。お昼ご飯にしよう」
どうやら先生と旅を続けるうちに、先生と感覚がリンクしているらしかった。なんて、先生とのつながりを無理やり探している自分がいることに気づいて、恥ずかしくなって俯いていた。
ジンベイザメはやっぱりとても大きくて、その迫力に思わず「おお」と感嘆の声を漏らした。
「前に律と来た時にね、ここでジンベイザメと写真を撮ったんだ」
ふと先生が律さんとの思い出を振り返る。私はこの旅の中で、先生に律さんとの旅を思い出して幸せな気持ちに浸ってほしいと思っていたので、胸がほっと温かくなった。
「ジンベイザメとのスリーショットですね。よかったら私とも撮りませんか?」
「うん、ぜひ撮ろう」
先生がにっこりと笑ってスマホをインカメラにして構える。ジンベイザメとのスリーショットは思いのほか難しく、「こっちこっち」「あ、右行った!」「もうちょっとアップで……」と試行錯誤しながらの撮影になった。それがおかしくて、私たちはコロコロとお腹を抱えながら写真を撮る。
「笑いすぎじゃない!?」
なんとかスリーショットを終えた写真を見ると、私も先生も笑いすぎて全然盛れてない。なんならちょっとピントがずれているし、ジンベイザメだけが澄ました顔をして泳いでいるのがおかしかった。
「まあこれも思い出ということで!」
「ははっ、確かに。そういえば律と撮った時もこんなんだったわ」
大好きな人とお別れして苦かった思い出も、細部まで振り返れば先生の中には幸せな断片が散らばっているのだ。
先生が懐かしそうに微笑むのを見ながら、私は心が温もる思いがした。
先生の中で律さんへの想いはまだ、線香花火の一番綺麗な瞬間みたいに、燃えている。
だからこそ先生は、この先の将来に踏みとどまっているのだ。
このままでは先生はきっと、律さん以外を好きになることはない。
その事実を突きつけられたようで、一層身が引き締まる。
「先生、次のエリアに進みましょう」
「え? うん。もうジンベイザメはいいの?」
「はい。十分です。それより早く行きましょう」
なんとなく気持ちが焦って、先生と共にジンベイザメエリアを後にする。
最後にたどり着いたのは『深海への旅』という深海魚コーナーだった。見たことのないような不思議な色、形をした魚たちを見て、私はまだまだ人生知らないことばかりだと思い至る。
「青葉ちゃん、大丈夫?」
深海魚に見入っていたからか、呼びかけても反応がない私を訝しがった先生が、私の顔を覗き込むようにして問う。
「は、はい。大丈夫です」
この後の予定のことを考えていると、どうしてもドキドキと緊張感が高まっていた。私の心中など知らない先生は、「深海魚って未知の世界って感じがしてワクワクするよね」と笑っていた。
「そうですね。ちょっと顔が怖い魚とか見るのが好きです」
「青葉ちゃんって意外と冒険家?」
「先生との旅を通して、そういう自分がいることを知りましたよ」
「それじゃ、私の功績大きいじゃん」
「そうですよ。先生のおかげです」
分かっているはずなのに、いちいち胸を張って嬉しそうにする先生がおかしい。
「先生、そろそろお腹空きませんか?」
「それ、私も言おうと思ってた。お昼ご飯にしよう」
どうやら先生と旅を続けるうちに、先生と感覚がリンクしているらしかった。なんて、先生とのつながりを無理やり探している自分がいることに気づいて、恥ずかしくなって俯いていた。



