翌朝、真夏の陽光に目を覚ました私は、自分が今沖縄のリゾートホテルに泊まっていることを思い出し、ぱっと頭が冴える。
先生の作った『旅カード』に沿って旅行をしていた今までとは違い、自分で計画した沖縄旅行という意識が、朝から緊張感をもたらす。
「先生、今日は水族館に行きますよ。美ら海ですよ」
寝ぼけ眼の先生の肩を揺すりながら、美ら海水族館までの行き方を調べる。先生は「ふぁああ」と大きなあくびをしつつ、「楽しみだな」とほんのり頬を染めていた。
ホテルでの朝ごはんを食べたあと、万座ビーチ前からバスに乗り込む。途中、乗り換えも含めて一時間半ほどで美ら海水族館最寄りの「記念公園前」に到着した。
バス停からさらに十分程度歩くと、観光雑誌でよく見る白い石の壁をした美ら海水族館が姿を現した。すぐ近くにジンベイザメのモニュメントがどーんと飾られている。
「うっわ〜やっぱり美ら海水族館こそ聖地だよね!」
「聖地って、何の聖地ですか?」
「そりゃ、“水族館”の聖地に決まってるでしょ。私にとって水族館といえば美ら海なんだ」
嬉しそうに頬を綻ばせる先生の言葉を聞いて、確かに美ら海水族館のザ・水族館らしさには目を瞠るものがあるなと思い直す。
美ら海水族館の特徴はなんといってもジンベイザメ。そして、『サンゴの海』と呼ばれる大水槽だろう。事前調べでしか知らないから、これから実際に観に行くのが楽しみだ。
ジンベイザメのモニュメントを通り過ぎると、まず『海人門』と呼ばれる入り口にたどり着いた。そこからさらにエスカレーターで四階へと上がっていく。水族館の中で、こうやってエスカレーターに乗っている時間が好きだ。これから冒険が始まる予感がする。
先生も同じなのか、良い大人なのに「楽しみ」とはしゃいだ声を上げる。やっぱり、何歳になっても水族館って心踊る場所なんだと分かって嬉しくなった。
「四階は開放的ですね」
「うん。上から『サンゴの海』と『熱帯魚の海』の水槽が見えるんだよ、ほら」
『大海への誘い』と呼ばれる四階エリアは屋外エリアになっていて、先生の言うとおり下の階で見られる水槽を上から覗き込める仕組みだ。上から見た水槽は沖縄の海のように透き通っていて、ゆらめく水面に太陽の光が差してきらきら光っていた。
四階には他にレストランや多目的ホールがあるらしい。一度それらの施設をスルーして、今度は三階へと向かう。三階は美ら海水族館の売りでもある『サンゴの海』と呼ばれるコーナーだ。美ら海のサンゴ礁周辺にすむ生き物たちを間近で見られるエリア、と説明が書かれていた。
「わ、ヒトデでいますよ。かわいいな〜」
浅い海を表現した水槽に、大きなヒトデがたくさんいた。茶色のヒトデは見たことがあるが、緑色のヒトデまでいて驚く。
「ヒトデって近くで見ると面白いよね。意外とトゲトゲしてるし」
先生が微笑みながらヒトデについて語る。そういえば先生の名前は「うみ」だし、海の生き物について語るのが似合っているなと感じた。
ヒトデを見た後は、先ほど四階から見た『サンゴの海』と『熱帯魚の海』の水槽が広がっていた。水槽に屋根がないため、強い日差しを受けて本物の海のように輝いている。こんなにもたくさんのサンゴを目にしたのはもちろん初めてなので、圧巻の風景だ。
「サンゴと熱帯魚、映えるねえ」
先生が感慨深そうに頷きながら水槽を見学する。先生の言うとおり、忠実に再現されたサンゴ礁の中で泳ぐ青色や黄色い魚たちは色鮮やかで美しかった。
「今この瞬間だけでも、あのフエダイたちに混ざって泳いでいたいです」
「なにそれ、青葉ちゃんってそんなロマンを語る人だった?」
「失礼ですね。私だってファンタジーな世界に浸りたくなることだってありますよ」
「ふっ、そっかそっかあ」
先生がくすくすと口に手を当てながら笑う。魚になりたいなんてこれまでの人生で一度も思ったことなんてなかったのに、悠々自適に泳ぐカラフルな魚たちを見ていると、私もあんなふうに自由に生きていたいなと思わされるから不思議だ。
先生の作った『旅カード』に沿って旅行をしていた今までとは違い、自分で計画した沖縄旅行という意識が、朝から緊張感をもたらす。
「先生、今日は水族館に行きますよ。美ら海ですよ」
寝ぼけ眼の先生の肩を揺すりながら、美ら海水族館までの行き方を調べる。先生は「ふぁああ」と大きなあくびをしつつ、「楽しみだな」とほんのり頬を染めていた。
ホテルでの朝ごはんを食べたあと、万座ビーチ前からバスに乗り込む。途中、乗り換えも含めて一時間半ほどで美ら海水族館最寄りの「記念公園前」に到着した。
バス停からさらに十分程度歩くと、観光雑誌でよく見る白い石の壁をした美ら海水族館が姿を現した。すぐ近くにジンベイザメのモニュメントがどーんと飾られている。
「うっわ〜やっぱり美ら海水族館こそ聖地だよね!」
「聖地って、何の聖地ですか?」
「そりゃ、“水族館”の聖地に決まってるでしょ。私にとって水族館といえば美ら海なんだ」
嬉しそうに頬を綻ばせる先生の言葉を聞いて、確かに美ら海水族館のザ・水族館らしさには目を瞠るものがあるなと思い直す。
美ら海水族館の特徴はなんといってもジンベイザメ。そして、『サンゴの海』と呼ばれる大水槽だろう。事前調べでしか知らないから、これから実際に観に行くのが楽しみだ。
ジンベイザメのモニュメントを通り過ぎると、まず『海人門』と呼ばれる入り口にたどり着いた。そこからさらにエスカレーターで四階へと上がっていく。水族館の中で、こうやってエスカレーターに乗っている時間が好きだ。これから冒険が始まる予感がする。
先生も同じなのか、良い大人なのに「楽しみ」とはしゃいだ声を上げる。やっぱり、何歳になっても水族館って心踊る場所なんだと分かって嬉しくなった。
「四階は開放的ですね」
「うん。上から『サンゴの海』と『熱帯魚の海』の水槽が見えるんだよ、ほら」
『大海への誘い』と呼ばれる四階エリアは屋外エリアになっていて、先生の言うとおり下の階で見られる水槽を上から覗き込める仕組みだ。上から見た水槽は沖縄の海のように透き通っていて、ゆらめく水面に太陽の光が差してきらきら光っていた。
四階には他にレストランや多目的ホールがあるらしい。一度それらの施設をスルーして、今度は三階へと向かう。三階は美ら海水族館の売りでもある『サンゴの海』と呼ばれるコーナーだ。美ら海のサンゴ礁周辺にすむ生き物たちを間近で見られるエリア、と説明が書かれていた。
「わ、ヒトデでいますよ。かわいいな〜」
浅い海を表現した水槽に、大きなヒトデがたくさんいた。茶色のヒトデは見たことがあるが、緑色のヒトデまでいて驚く。
「ヒトデって近くで見ると面白いよね。意外とトゲトゲしてるし」
先生が微笑みながらヒトデについて語る。そういえば先生の名前は「うみ」だし、海の生き物について語るのが似合っているなと感じた。
ヒトデを見た後は、先ほど四階から見た『サンゴの海』と『熱帯魚の海』の水槽が広がっていた。水槽に屋根がないため、強い日差しを受けて本物の海のように輝いている。こんなにもたくさんのサンゴを目にしたのはもちろん初めてなので、圧巻の風景だ。
「サンゴと熱帯魚、映えるねえ」
先生が感慨深そうに頷きながら水槽を見学する。先生の言うとおり、忠実に再現されたサンゴ礁の中で泳ぐ青色や黄色い魚たちは色鮮やかで美しかった。
「今この瞬間だけでも、あのフエダイたちに混ざって泳いでいたいです」
「なにそれ、青葉ちゃんってそんなロマンを語る人だった?」
「失礼ですね。私だってファンタジーな世界に浸りたくなることだってありますよ」
「ふっ、そっかそっかあ」
先生がくすくすと口に手を当てながら笑う。魚になりたいなんてこれまでの人生で一度も思ったことなんてなかったのに、悠々自適に泳ぐカラフルな魚たちを見ていると、私もあんなふうに自由に生きていたいなと思わされるから不思議だ。



