
(旅カード? 北海道? 何の話!?)
もし声が出せるなら、私はきっと今ひとりで素っ頓狂な声を上げていただろう。それぐらい、摩訶不思議な手紙に頭が混乱していた。
(宛先を間違ってない……? いや、でも封筒にちゃんと「峰島青葉様」って私の名前が書かれてたし……。うーん)
確かに自分宛の封筒には違いないが、中身にはまるで覚えがない。極めつけは差出人が不明ということだ。
やっぱり誰かのいたずらだろうか。
考えられるのはクラスメイトだ。
でも、いたずらにしてはやたら手が込んでいるし、学校ならまだしも、自宅のポストに手紙を入れるなんて普通の人にはできない。私の住所を知っている人間は小学校の頃の友達ぐらいだ。
ふと詩織と梨花の顔が浮かぶ。
いや、さすがに二人は違うよね……。
中学であんなことがあってから、詩織とも梨花とも没交渉のままだ。それ以外の同級生たちとも、友達付き合いをまともにしてこなかったので、誰も私の家の住所なんて知らないだろう。
それなら一体誰が——。
母や父に相談してみようかと一瞬考える。でも、両親に余計な心配をかけるのは嫌だ。ただでさえ、耳のことで二人にはたくさん心配をかけているんだし……。
少し考えて、やっぱり両親に相談するのはやめようと思い直す。
気味が悪いなら捨ててしまえばいいだけ。いたずらに付き合う義理も暇もない。
それなのに、どうしてか私はその手紙をゴミ箱に入れることができなかった。
なんとなく、この手紙は私が持っていなきゃいけないような気がするのだ。
なんでなんだろう。
理由は分からないけれど、手紙を捨てることができず、そのまま通学鞄のポケットにしまい込むのだった。



