アラームを止めて目を擦り、最初に思ったのは、ああ、来てしまった、だった。浮ついた気持ちのせいで喉を通らない朝食を、お茶で無理やり流し込む。昨日準備した荷物の中身を確認する。忘れ物はない、はず。最悪身分証とスマホと財布だけあれば十分だろう。
着慣れた制服とコートに身を包み、リュックを背負って玄関に出る。高ぶる気持ちを押さえつけるようにため息をついた。
「受験票持った? 気をつけて行きなさいよ。事故なんかに遭ったら元も子もないんだからね」
「縁起でもないこと言うなよ……行ってきます」
玄関の扉をグッと押す。
「行ってらっしゃい。頑張ってね」
凍てつくような空気が顔を突き刺す。
2月25日。今日、俺は東大を受験する――。
✳︎ ✳︎ ✳︎
着慣れた制服とコートに身を包み、リュックを背負って玄関に出る。高ぶる気持ちを押さえつけるようにため息をついた。
「受験票持った? 気をつけて行きなさいよ。事故なんかに遭ったら元も子もないんだからね」
「縁起でもないこと言うなよ……行ってきます」
玄関の扉をグッと押す。
「行ってらっしゃい。頑張ってね」
凍てつくような空気が顔を突き刺す。
2月25日。今日、俺は東大を受験する――。
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