その後、1402号室の自室でのんびりゲームをしながら時間を潰す。俺の連休は生産性のない活動に浪費されていく。それでも、新築タワマンの中で一日を過ごしているというだけで、充足感を覚えるから不思議だ。
まさに、“おひとりさま満喫”って感じだな。
きっと彼女と別れていなかったら、こうはいかなかっただろう。
昨年末まで付き合っていた彼女はマンションではなく戸建ての家に住みたいと言っていたし。彼女と別れたからこそ、俺はRESIDENCE SAKAE ONEで優雅な一人暮らしを送ることができているのだ。そう思うと、浮気した彼女に感謝しなくちゃいけないかもしれない。
などと彼女がいない寂しさを紛らわせつつ無聊を慰めていると、いつのまにか圭介との約束の時間が訪れていた。
「よ、来たぜ」
十七時ぴったりにインターホンが鳴った。昨晩とは違いエントランスのほうからの呼び出しで、なんとなくほっとしている自分がいた。
「オンタイムだな。さすが有名不動産会社の営業マン」
「お前に言われるほどのことじゃないぞ。てか早く開けてくれよ」
「はいはい」
圭介は、大手自動車メーカーに勤める俺のことを買いかぶるようなことを言うが、俺にしてみれば入社してからは歯車の一員としてせっせとやるべきことをしているだけ。就活生だった大学時代は内定をもらって鼻高々だったが、今となってはどこの会社に勤めていても結局やることはほとんど変わらないだろう、となんとなく達観してしまっていた。
エントランスのオートロックを解除すると、圭介がモニターから消えた。同時にエレベーターのロックも解除されるので、そのまま中層階行きのエレベーターに乗っているだろう。ちなみに、来客は玄関のインターホンを押した階しか、エレベーターのボタンも押せない仕組みになっている。徹底的なセキュリティに、俺もまだ慣れていない。
ピンポーン
今度は玄関のインターホンが鳴り、俺はモニターを確認するまでもなく玄関へと急ぐ。鍵を開けて扉を開くと、ビニール袋を持った圭介が立っていた。
「いやー、久しぶり。このマンション、入り口からホテルかってビビリながら入ったわ」
「エントランスにソファとか、なかなかないよな」
「本当だよ。大学時代にお前がボロアパートに下宿してた時のことを思い出して涙が出て来たぞ」
「嘘つくな」
へっへっへっと、昔から変わらない調子で俺をおちょくりながら、それでも新築タワマンという場所に慣れていないのか、圭介は「お邪魔しまあす」とらしからぬ慎重さで丁寧に靴を脱いだ。
まさに、“おひとりさま満喫”って感じだな。
きっと彼女と別れていなかったら、こうはいかなかっただろう。
昨年末まで付き合っていた彼女はマンションではなく戸建ての家に住みたいと言っていたし。彼女と別れたからこそ、俺はRESIDENCE SAKAE ONEで優雅な一人暮らしを送ることができているのだ。そう思うと、浮気した彼女に感謝しなくちゃいけないかもしれない。
などと彼女がいない寂しさを紛らわせつつ無聊を慰めていると、いつのまにか圭介との約束の時間が訪れていた。
「よ、来たぜ」
十七時ぴったりにインターホンが鳴った。昨晩とは違いエントランスのほうからの呼び出しで、なんとなくほっとしている自分がいた。
「オンタイムだな。さすが有名不動産会社の営業マン」
「お前に言われるほどのことじゃないぞ。てか早く開けてくれよ」
「はいはい」
圭介は、大手自動車メーカーに勤める俺のことを買いかぶるようなことを言うが、俺にしてみれば入社してからは歯車の一員としてせっせとやるべきことをしているだけ。就活生だった大学時代は内定をもらって鼻高々だったが、今となってはどこの会社に勤めていても結局やることはほとんど変わらないだろう、となんとなく達観してしまっていた。
エントランスのオートロックを解除すると、圭介がモニターから消えた。同時にエレベーターのロックも解除されるので、そのまま中層階行きのエレベーターに乗っているだろう。ちなみに、来客は玄関のインターホンを押した階しか、エレベーターのボタンも押せない仕組みになっている。徹底的なセキュリティに、俺もまだ慣れていない。
ピンポーン
今度は玄関のインターホンが鳴り、俺はモニターを確認するまでもなく玄関へと急ぐ。鍵を開けて扉を開くと、ビニール袋を持った圭介が立っていた。
「いやー、久しぶり。このマンション、入り口からホテルかってビビリながら入ったわ」
「エントランスにソファとか、なかなかないよな」
「本当だよ。大学時代にお前がボロアパートに下宿してた時のことを思い出して涙が出て来たぞ」
「嘘つくな」
へっへっへっと、昔から変わらない調子で俺をおちょくりながら、それでも新築タワマンという場所に慣れていないのか、圭介は「お邪魔しまあす」とらしからぬ慎重さで丁寧に靴を脱いだ。



