~一人だけど、独りじゃない。~ 五彩の交換日記


 揺れる車内で、YouTubeのマイページからサムネイルを選び、タップして画面を横にする。

 映ったのは何もない、真っ白なスタジオ。

 佇(たたず)むのは、小さなダンサー。

 名前はメモリー。

 無音の空間で、なぜか少し、はにかんでいる。

 そこに、ビート音が打ち鳴らされ。

 彼女はそれに反応し。

 不敵な笑みを浮かべ、妖女に変身する。

 スマホ越しでもわかる。

 殺風景なスタジオの空気をさっと変えた。

 ダンス音楽のタイトルは、

 〝約束の場所へ、五彩(ごさい)の軌跡を描け〟

 彼女は、私たちとの共同生活に触発され、この曲を創った。

 それをみずから歌い、踊る。

  ♪(日本語訳)
   そうさ ボクらは めざしている
   めっちゃ高いところを
   なんかキラキラした場所をね

   そこに行きつくまでのストーリー
   ボクらのメモリーを
   メロディーに乗せて
   マル秘のダイアリーに
   綴(つづ)り続けるんだ


 彼女は受け容れてくれた。
 
 弱くて、
 すぐ逃げて、
 そのくせ怒りっぽくて、
 そのうえ愛欲に飢えていて、
 それなのに、自分も自信もこれっぽっちもない、

 こんな私なんかを。
 そして、一つにまとまれない私たちを。

 だから。
 受け容れ合おう。

 バラバラだけど、離れられないこの心とからだを。
 いつか、誰かが消えてしまう、私たちの宿命を。

   ♪
   大丈夫
   ボクらは 一人だけど
   独りぼっちなんかじゃない


 それは、アイソレーションから始まった。