甘え下手なトラガールたちは、今夜も月を追いかけて

 ボクたち、トラガールの物語を最後まで読んでくれて、ありがとう!

 この作品が、ボクのながーい物語の第一号。

 第一印象が肝心だからね。あとがきも、ながーいのを一生懸命書くよ。
 え、手短かにって?

 あ、そういえば言ってなかったけど、正確に言うと、ボクは『元・トラガール』。
 お陰様で、最近趣味で投稿していた作品のいくつかに書籍化の話が来て、物書きに専念しようってことになったんだ。
 ボクはクルマを降りちゃったけど、仲間の四人はまだまだがんばってハンドル握ってるよ……ボクだって本が売れなかったら、すぐにドライバー復帰すると思うけどさ。
 ルカからは、もう戻ってくるな、ガンバレって、喝を入れられた。ホントいい子だね。

 この物語を書くために、改めてラナ、リョウ、ルカ、ロマンの四人にインタビューさせてもらったんだけど、『恥ずかしいことは書かれたくない』って、なかなか口を割らないんだよね。
 ぜったい面白いネタを隠していることは間違いない。ボクだって、オシッコしているところをタヌキにガン見された自虐ネタまで書いちゃってるんだから。これからもしつこく聞いて、続編で、もっとヤバい話も書いていくつもり。仲間のみんな、覚悟しててね(ニヤリ)。

 で、インタビューしてて思ったんだけど、みんなトラックの仕事、好きなんだよね。だけど、どこが面白いの?って聞いても『うーん、わかんない』て答えばっかり。
 経験者のボクでも、運転しているときは、はっきりコレが楽しかったて特に自覚してなかったんだよね。
 でも、今思い出すと、色々と楽しいこともあったなーって思うんだ。
 綺麗な景色が見られたり、各地の美味しいものが食べられたり、サービスエリアで休憩して、あれこれ昔のこと思い出したり。

 でも一番は、いろんな人と話ができたことかな。

 ロマンからは、レイはすぐに色々な人と仲よくなれて、コミュ力高いねって言われるんだけど、そんなことはないよ。実は、ビビりの人見知り。でもね、この仕事やってると、配送先のお客さんとか、すごく優しく接してくれるんだよね……だから、ぼくも心を開いて話せた。
 一緒に仕事をしてくれた仲間に、お疲れ様、お互いがんばろうねって言い合えたこと。あ、コインスナックで出会ったタクシーのオジサンみたいに、時々変わった人もいたけどね……。

 あと、四人の誰か言ってたよ。避難所に車が着いたとき、駆けよってくるみんなの嬉しそうな顔。
 トラックドライバーは、嬉しさを届ける仕事。

 あとがきなのに、ダラダラといろいろ書いちゃった。

 でもでも……トラックの仕事やってて、ホントに一番よかったこと。それは四人に仲間と出会えたことかな。みんなぞれぞれの事情や夢があって、これからどうなるのかわからないけど、みんなの人生の中で宝物のような時間になることは間違いない。

 『スナック涙花』でボクの送別&激励会を開いてくれた時も、リョウは『そんな大げさに考えるなよ。たまたま偶然、五人が出会っただけじゃん』てクールに言ってたけど。その時の照れた表情を見てボクは確信したんだ。

 確かに五人だけ、通じ合える時間があったんだ。みんな違うトラックに乗って、違う場所で仕事して、時々ルカのお店やLINEで話をするくらいだけど、わかり合える時間が、一緒に夢を見る時間が。

 被災地支援の帰りに、月明かりの海沿いの道を五台のトラックで並んで走ったこと。ボクたちは運転していたから、そのキャラバンを遠目で見ることはできなかったんだけど、それを動画に記録してくれている人がいっぱいいたよ。YouTubeでそれを見てると、今でも涙が出ちゃうんだ……

 きっと、絶対。あの時の景色、あの時の気持ちは忘れない。

 マイウエイオジサンの月の沙漠と、そのオジサンが作詞? した、マイウエイ改め『Our Ways.』のビブラートたっぷりの歌声が勝手に脳内で再生されちゃうのは、何とかしたいところだけど……

 そろそろまとめなくちゃね。

 Our Ways.

 君たち、いや、ボクたちが走ってきた道。
 これから進んでいく道。

 そして、その道の向こうへ。
 ずっとずっと夢が続くことを心から願っています。


 その願いをこの物語に込めて。
 がんばっているボクたちの仲間、トラックガールのみんなにプレゼントします。

 ながーいあとがきになっちゃって、ごめんね。
 なんかこの物語、終わらせたくなくって。

  レイこと
  宮乃木 玲より


(了)