「何その量!?それ全部食うの!?」
「駄菓子っつうのはなぁ、まとめ買いして、あとでちびちび食うのが通なんだよ!」
昭和くんはどや顔で、うまい棒とラムネの入ったカゴを掲げた。
「うわ......」
平成くんは驚きつつ、ゲームコーナーへ足を向ける。
「見て見て!格ゲーの大会やってる!優勝者にはポイントカード五千円分だって!」
「お前......真っ先に燃えるタイプだろ」
「だって勝てば五千円!」
「そ、そんな理由!?」
そして昭和くんもなぜか参戦体制。
気付けば、明治さんは静かに書店のレジで本を購入していた。
「それ、何買ったんですか?」
「夏目漱石の『こころ』の新装版です。現代の装丁と文体比較をしてみようかと」
「え、勉強熱心すぎません?」
「いやはや、つい」
明治さんは柔らかく笑う。
一方その頃、ゲーム大会では――
「くらえ!オレの平成コンボぉぉぉ!!」
「舐めんなよ、根性の昭和パンチだぁぁ!!」
と、両時代の激突が繰り広げられていた。
ただボタンを連打して画面のキャラを戦わせるだけなのに、すごい迫力。
「何この熱量......」
私と明治さんが呆れている間に、ギャラリーが少しずつ集まり始める。
「お兄さん達、うまっ!」
「どっちの人が勝つのかな〜!」
そんな声援が飛ぶ中、最終ラウンド。
「うおおおっ、俺の魂ィィィ!!」
「気合いで勝てるかっての!」
結果――僅差で平成くんの勝利。
「やったぁぁ!!」
「くっそ、力で負けた......」
二人が言い合う横で、明治さんがふと空を見上げる。
夕方の空がオレンジ色に染まり、イオンのガラス壁に反射してきらきら光っていた。
「イオンの遊びに来た記念〜!」
平成くんがスマホを掲げ、またシャッターを切った。
「おい、また撮ってんのかよ......」
「思い出は、何枚あっても良いんだって!」
「はぁ......俺が撮ってやるよ。ほれ、並べ」
夜になった頃、車で向かった先は日本最大の湖、琵琶湖。(滋賀県の六分の一の面積だよ)
「海大きい!向こうの島デカっ!!」
平成くんがはしゃいで、昭和くんが手頃な石を拾っている。
「湖だよ」
私が訂正する。
昭和くんはしゃがみ込み、手の中で石を選んでいた。
「うーん............これだな」
掌の上には、平たくて滑らかな小石。
夕方の琵琶湖の水面が金色に揺れている。
「見てろよ、お前ら」
彼はそう言って、腕をぐるりと後ろへ引く。
一瞬の静寂。
――パシッ!シュパパパパパッ!
五回、いや六回。石は見事な弧を描いて波紋を生んだ。
「おぉーっ!やるじゃん昭和!!」
平成くんが手を叩いて笑う。
「昔はこれで近所のガキ共とよく競ったもんよ。負けた奴は駄菓子一本奢りな」
「えー!勝てる自信ないよ!?」
昭和くんと平成くんがわいわい仲良く水切りしている。
「......な、美空さん。僕らがいないこの先の時代でも、この景色を守ってくれますか?」
私達より少し後ろに立っていた明治さんがポツリと呟いた。
私は少し考えて、言う。
「はい!」
「......そうですか。それなら僕もう一度頑張ってみますねぇ」
「駄菓子っつうのはなぁ、まとめ買いして、あとでちびちび食うのが通なんだよ!」
昭和くんはどや顔で、うまい棒とラムネの入ったカゴを掲げた。
「うわ......」
平成くんは驚きつつ、ゲームコーナーへ足を向ける。
「見て見て!格ゲーの大会やってる!優勝者にはポイントカード五千円分だって!」
「お前......真っ先に燃えるタイプだろ」
「だって勝てば五千円!」
「そ、そんな理由!?」
そして昭和くんもなぜか参戦体制。
気付けば、明治さんは静かに書店のレジで本を購入していた。
「それ、何買ったんですか?」
「夏目漱石の『こころ』の新装版です。現代の装丁と文体比較をしてみようかと」
「え、勉強熱心すぎません?」
「いやはや、つい」
明治さんは柔らかく笑う。
一方その頃、ゲーム大会では――
「くらえ!オレの平成コンボぉぉぉ!!」
「舐めんなよ、根性の昭和パンチだぁぁ!!」
と、両時代の激突が繰り広げられていた。
ただボタンを連打して画面のキャラを戦わせるだけなのに、すごい迫力。
「何この熱量......」
私と明治さんが呆れている間に、ギャラリーが少しずつ集まり始める。
「お兄さん達、うまっ!」
「どっちの人が勝つのかな〜!」
そんな声援が飛ぶ中、最終ラウンド。
「うおおおっ、俺の魂ィィィ!!」
「気合いで勝てるかっての!」
結果――僅差で平成くんの勝利。
「やったぁぁ!!」
「くっそ、力で負けた......」
二人が言い合う横で、明治さんがふと空を見上げる。
夕方の空がオレンジ色に染まり、イオンのガラス壁に反射してきらきら光っていた。
「イオンの遊びに来た記念〜!」
平成くんがスマホを掲げ、またシャッターを切った。
「おい、また撮ってんのかよ......」
「思い出は、何枚あっても良いんだって!」
「はぁ......俺が撮ってやるよ。ほれ、並べ」
夜になった頃、車で向かった先は日本最大の湖、琵琶湖。(滋賀県の六分の一の面積だよ)
「海大きい!向こうの島デカっ!!」
平成くんがはしゃいで、昭和くんが手頃な石を拾っている。
「湖だよ」
私が訂正する。
昭和くんはしゃがみ込み、手の中で石を選んでいた。
「うーん............これだな」
掌の上には、平たくて滑らかな小石。
夕方の琵琶湖の水面が金色に揺れている。
「見てろよ、お前ら」
彼はそう言って、腕をぐるりと後ろへ引く。
一瞬の静寂。
――パシッ!シュパパパパパッ!
五回、いや六回。石は見事な弧を描いて波紋を生んだ。
「おぉーっ!やるじゃん昭和!!」
平成くんが手を叩いて笑う。
「昔はこれで近所のガキ共とよく競ったもんよ。負けた奴は駄菓子一本奢りな」
「えー!勝てる自信ないよ!?」
昭和くんと平成くんがわいわい仲良く水切りしている。
「......な、美空さん。僕らがいないこの先の時代でも、この景色を守ってくれますか?」
私達より少し後ろに立っていた明治さんがポツリと呟いた。
私は少し考えて、言う。
「はい!」
「......そうですか。それなら僕もう一度頑張ってみますねぇ」



