その夜。
リュックから取り出したのは、飛鳥くんが今朝渡してきた『飛鳥時代ゲーム。目指せ中央集権国家』だった。
「お、ゲーム?」
「飛鳥時代って......えーっと、昔のことだな!」
「奈良時代の前で、日本で初めて刑法・民法などの法律が定められた時代だ」
「さすがイインチョー」
画面に表示されたのは、意外にもハイクオリティなマップと、ナレーションのようなテロップ。
『都の場所を決めてください。』
選択肢がいくつも並んでいる。
―――『持統天皇は藤原京』
―――『元明天皇は平城京』
―――『聖武天皇は恭仁京』
―――『難波宮』
―――『紫香楽宮』
「都、いっぱいあるね......」と呟くと、委員長は自信満々に頷いた。
「飛鳥時代の都は移動式だったからな」
「サラダチキンより軽やか。......飴やる」
朱里が飴をみんなに手渡す。レモン味だった。
「例えが現代すぎる。飴ありがとう」
とりあえず定番っぽく、『平城京』を選んでみる。
画面が切り替わり、またもや選択肢が並ぶ。
『所属する省を決めてください』
―――『中務省、朝廷の公的の補佐』
―――『治部省、儀式・外交』
―――『式部省、役人の人事・教育』
―――『民部省、戸籍・租税』
―――『兵部省、軍事・警備』
―――『刑部省、裁判』
―――『大蔵省、国財の管理』
―――『宮内省、朝廷の私的な補佐』
「いやいや、もう漢字からして時代が違うやつ」
「そもそも、どれが正解とかあるの?」
「全部“正解”だ。飛鳥時代には中央官制『八省』っていうのがあって―――」
「それ授業で聞いた!!」
「......とりあえず、民部省?」
ポチッ。
『戸籍班に配属されました。班員を集めて、土地を分配してください』
画面に映し出されたキャラたちは、まるでリアルな飛鳥時代の人。
朱里が操作キャラを動かして、米俵を運んでいる。
「ゲームで働かされてる......これがブラック労働」
「つらっ」
「RPGのはずが、ただの“村作りシミュ”」
「このゲーム、かなり忠実に作られてるな」
委員長がゲーム機を覗き込む。
(このゲームを作った人が当時の人だなんて、口が裂けても言えない......)
村を作っていたら、スペシャルミッションという文字が現れた。
『僧尼の脱走を阻止せよ』
「......どういうこと!?」
「次は治部省になりきるのか。僧尼は当時、勝手に出家したり寺を出たりするのが禁止されてたんだ」
「脱走僧を追いかけるの、絶対バカゲー展開だわこれ」
「追え―――ッ!!!」
“お坊さん”が竹やぶを抜けていく!!
“飛鳥時代の公務員”たちが網で取り押さえる!!
成功!
『脱走僧、無事確保。仏教秩序を守りました』
「お坊さん確保ってパワーワード過ぎる」
『大化の改新を実行せよ』
「おお!格好良さそう!」
「昔の人、夜中ポテチとかしないんだろうな」
「蘇我入鹿を暗殺するイベントだな」
「物騒!!」
健太がキャラをそっと屋敷の中に忍び込ませる。
「教えて委員長!入鹿ってどんな人?」
「何でも俺に聞くなよ......。蘇我入鹿は蘇我氏の超権力者だ。皇族より偉かった説もある」
「凄い人じゃん!」
「さっきまで平和だったのに......一気に修羅場になった」
「平和だったか?」
蒼真が画面を覗き込む。
「待って。選択肢あるよ?」
画面には四つの選択肢が並んでいた。
―――『刀で斬る』
―――『毒を盛る』
―――『馬で轢く』
―――『火炙りの刑に処す』
「馬!?」
「火炙りって......残酷だなぁ」
「刀だろ、やっぱり王道!」
「でも毒って......時代を感じない?」
朱里が悩んだ末に、無言で「馬で轢く」を選んだ。
「朱里!?」
「馬の迫力が見たい気分」
画面の中で、馬に乗ったキャラが正面から全力で入鹿に突っ込む。
ドーンッ!!
『蘇我入鹿を撃破!改新、始まる―――』
「スーパースロー演出とか要らんから!!」
「意外とグラフィック頑張ってる......!」
場の空気がどっと笑いに包まれる中、委員長がポツリと呟く。
「これ作った人、蘇我入鹿に恨みでもあるのか?」
その後、みんなでワイワイ言いながらゲームをしていたら、とっくに朝の四時になって速攻で寝た。睡眠時間は三時間。
「楽しかったなぁ」
「うん、楽しかったよな」
「夏休みって、最高〜」
「俺は寝不足」
「委員長、寝不足なのはみんな一緒」
「もう一回くらい、海行こっか」
「賛成。次はサメ倒そう」
「どんな海だよ!!」
リュックから取り出したのは、飛鳥くんが今朝渡してきた『飛鳥時代ゲーム。目指せ中央集権国家』だった。
「お、ゲーム?」
「飛鳥時代って......えーっと、昔のことだな!」
「奈良時代の前で、日本で初めて刑法・民法などの法律が定められた時代だ」
「さすがイインチョー」
画面に表示されたのは、意外にもハイクオリティなマップと、ナレーションのようなテロップ。
『都の場所を決めてください。』
選択肢がいくつも並んでいる。
―――『持統天皇は藤原京』
―――『元明天皇は平城京』
―――『聖武天皇は恭仁京』
―――『難波宮』
―――『紫香楽宮』
「都、いっぱいあるね......」と呟くと、委員長は自信満々に頷いた。
「飛鳥時代の都は移動式だったからな」
「サラダチキンより軽やか。......飴やる」
朱里が飴をみんなに手渡す。レモン味だった。
「例えが現代すぎる。飴ありがとう」
とりあえず定番っぽく、『平城京』を選んでみる。
画面が切り替わり、またもや選択肢が並ぶ。
『所属する省を決めてください』
―――『中務省、朝廷の公的の補佐』
―――『治部省、儀式・外交』
―――『式部省、役人の人事・教育』
―――『民部省、戸籍・租税』
―――『兵部省、軍事・警備』
―――『刑部省、裁判』
―――『大蔵省、国財の管理』
―――『宮内省、朝廷の私的な補佐』
「いやいや、もう漢字からして時代が違うやつ」
「そもそも、どれが正解とかあるの?」
「全部“正解”だ。飛鳥時代には中央官制『八省』っていうのがあって―――」
「それ授業で聞いた!!」
「......とりあえず、民部省?」
ポチッ。
『戸籍班に配属されました。班員を集めて、土地を分配してください』
画面に映し出されたキャラたちは、まるでリアルな飛鳥時代の人。
朱里が操作キャラを動かして、米俵を運んでいる。
「ゲームで働かされてる......これがブラック労働」
「つらっ」
「RPGのはずが、ただの“村作りシミュ”」
「このゲーム、かなり忠実に作られてるな」
委員長がゲーム機を覗き込む。
(このゲームを作った人が当時の人だなんて、口が裂けても言えない......)
村を作っていたら、スペシャルミッションという文字が現れた。
『僧尼の脱走を阻止せよ』
「......どういうこと!?」
「次は治部省になりきるのか。僧尼は当時、勝手に出家したり寺を出たりするのが禁止されてたんだ」
「脱走僧を追いかけるの、絶対バカゲー展開だわこれ」
「追え―――ッ!!!」
“お坊さん”が竹やぶを抜けていく!!
“飛鳥時代の公務員”たちが網で取り押さえる!!
成功!
『脱走僧、無事確保。仏教秩序を守りました』
「お坊さん確保ってパワーワード過ぎる」
『大化の改新を実行せよ』
「おお!格好良さそう!」
「昔の人、夜中ポテチとかしないんだろうな」
「蘇我入鹿を暗殺するイベントだな」
「物騒!!」
健太がキャラをそっと屋敷の中に忍び込ませる。
「教えて委員長!入鹿ってどんな人?」
「何でも俺に聞くなよ......。蘇我入鹿は蘇我氏の超権力者だ。皇族より偉かった説もある」
「凄い人じゃん!」
「さっきまで平和だったのに......一気に修羅場になった」
「平和だったか?」
蒼真が画面を覗き込む。
「待って。選択肢あるよ?」
画面には四つの選択肢が並んでいた。
―――『刀で斬る』
―――『毒を盛る』
―――『馬で轢く』
―――『火炙りの刑に処す』
「馬!?」
「火炙りって......残酷だなぁ」
「刀だろ、やっぱり王道!」
「でも毒って......時代を感じない?」
朱里が悩んだ末に、無言で「馬で轢く」を選んだ。
「朱里!?」
「馬の迫力が見たい気分」
画面の中で、馬に乗ったキャラが正面から全力で入鹿に突っ込む。
ドーンッ!!
『蘇我入鹿を撃破!改新、始まる―――』
「スーパースロー演出とか要らんから!!」
「意外とグラフィック頑張ってる......!」
場の空気がどっと笑いに包まれる中、委員長がポツリと呟く。
「これ作った人、蘇我入鹿に恨みでもあるのか?」
その後、みんなでワイワイ言いながらゲームをしていたら、とっくに朝の四時になって速攻で寝た。睡眠時間は三時間。
「楽しかったなぁ」
「うん、楽しかったよな」
「夏休みって、最高〜」
「俺は寝不足」
「委員長、寝不足なのはみんな一緒」
「もう一回くらい、海行こっか」
「賛成。次はサメ倒そう」
「どんな海だよ!!」



