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結婚披露パーティーは、祝いの場とあって賑やかかつ終始和やかな雰囲気で進んでいく。
国王陛下や王太子殿下のスピーチの後、ダンスタイムを終えて今は、貴族や周辺国の来賓が代わる代わる王太子と王太子妃シェリーにお祝いの挨拶を述べているところだ。
アランとエレインは軽食をつまみながら、人が掃けるのを待っていた。
時折話しかけに来る貴族を相手にするアランは、王子そのものだった。
そして当然、婚約者として隣にいるエレインにも話の矛先が及ぶので、当たり障りのない返事をしてなんとか場を凌ぐので精いっぱい。
(なんだか、息苦しい……)
王宮入りしてからずっと、どんよりと重くのしかかるような空気を感じていた。
(ふわふわさんたちも、元気がないわ)
カムリセラ国ではたくさんの精霊が辺りを飛び交い、元気な姿を見せてくれていたのに。この国の精霊たちは数も少なければ元気もない。
(やっぱりシェリーのせい……?)
もしかして、力を悪用してしまったのだろうか、と思考は悪い方へと向かってしまう。
「そろそろだよ」
「はい」
アランの声に意識を引き戻され、差し出された腕に手を添えて歩を進める。
シェリーたちの方を見やると、さっきまでの人だかりがなくなり、ダミアンとシェリーの姿が見えた。
久しぶりに見たシェリーは、酷くやつれた顔をしていた。
遠目にはわからなかったが、頬は痩せこけ、自慢のピンクブロンドの髪にも艶がなかった。
(どうしたのかしら)
パーティーの準備がよほど大変だったのかとも考えたが、誰よりも見た目にこだわる彼女のことだ、そこを疎かにするはずがないと不思議に思っていると、
「まずいな、かなり力を使っている」
と、隣にいたアランが言った。
「そんなことがわかるのですか?」
「ヴィタ国の王家の血筋でない者が指輪の力を使うには、代償を払わなければならないそうだ」
「代償とは……」
「生命力だ」
その言葉の意味と今見えている事実とが一致して、エレインは息を呑んだ。
シェリーの容姿を見て、アランもそう判断したのだろう。
「もしこれ以上力を使ったら……」
「その末路がどうなるのかまでは、本には書かれていなかった」
だとしても、シェリーの行く末が善いものになるとは到底思えない。
そうこうしている内に、二人はダミアンたちの前に到着する。
結婚披露パーティーは、祝いの場とあって賑やかかつ終始和やかな雰囲気で進んでいく。
国王陛下や王太子殿下のスピーチの後、ダンスタイムを終えて今は、貴族や周辺国の来賓が代わる代わる王太子と王太子妃シェリーにお祝いの挨拶を述べているところだ。
アランとエレインは軽食をつまみながら、人が掃けるのを待っていた。
時折話しかけに来る貴族を相手にするアランは、王子そのものだった。
そして当然、婚約者として隣にいるエレインにも話の矛先が及ぶので、当たり障りのない返事をしてなんとか場を凌ぐので精いっぱい。
(なんだか、息苦しい……)
王宮入りしてからずっと、どんよりと重くのしかかるような空気を感じていた。
(ふわふわさんたちも、元気がないわ)
カムリセラ国ではたくさんの精霊が辺りを飛び交い、元気な姿を見せてくれていたのに。この国の精霊たちは数も少なければ元気もない。
(やっぱりシェリーのせい……?)
もしかして、力を悪用してしまったのだろうか、と思考は悪い方へと向かってしまう。
「そろそろだよ」
「はい」
アランの声に意識を引き戻され、差し出された腕に手を添えて歩を進める。
シェリーたちの方を見やると、さっきまでの人だかりがなくなり、ダミアンとシェリーの姿が見えた。
久しぶりに見たシェリーは、酷くやつれた顔をしていた。
遠目にはわからなかったが、頬は痩せこけ、自慢のピンクブロンドの髪にも艶がなかった。
(どうしたのかしら)
パーティーの準備がよほど大変だったのかとも考えたが、誰よりも見た目にこだわる彼女のことだ、そこを疎かにするはずがないと不思議に思っていると、
「まずいな、かなり力を使っている」
と、隣にいたアランが言った。
「そんなことがわかるのですか?」
「ヴィタ国の王家の血筋でない者が指輪の力を使うには、代償を払わなければならないそうだ」
「代償とは……」
「生命力だ」
その言葉の意味と今見えている事実とが一致して、エレインは息を呑んだ。
シェリーの容姿を見て、アランもそう判断したのだろう。
「もしこれ以上力を使ったら……」
「その末路がどうなるのかまでは、本には書かれていなかった」
だとしても、シェリーの行く末が善いものになるとは到底思えない。
そうこうしている内に、二人はダミアンたちの前に到着する。



