どっどっどっ、と心臓が激しく脈打つのを感じながら待っていると、液体のようなものが滲み出てきた。
ゆっくりと、でも確実に切った箇所が色濃くなっていく。
「許してもらえた……」
子どもの頃、憧れた母の姿に自分も一歩近づけたような気がして、安堵と嬉しさが混ざった息を吐けば、いつの間にか力んでいた体から力が抜けていった。
「でも、指輪を以て、というのはどういう意味かしら……」
もしも、これが本に書かれていた「赦し」だとすれば、契約ができるかもしれないと淡い期待が膨らむ。
「この樹液を指輪にたらしてみる、とか……?」
(とりあえず、やってみるしかないわね)
本来なら、染み出てきた樹液は固まってから採取するのが正しいやり方だが、待っている時間も惜しいと感じてしまい、エレインは指輪を付けた指をフランキンセンスの切り口の少し下へと近づける。
垂れてくる樹液を掬いあげるように指輪のベゼルを当てたそのとき、
「エレイン?」
「えっ? 殿下? ……わ、わっ……!」
アランの声とほぼ同時に、まばゆい光がエレインを包み込んだ。
「エレイン――!」
ゆっくりと、でも確実に切った箇所が色濃くなっていく。
「許してもらえた……」
子どもの頃、憧れた母の姿に自分も一歩近づけたような気がして、安堵と嬉しさが混ざった息を吐けば、いつの間にか力んでいた体から力が抜けていった。
「でも、指輪を以て、というのはどういう意味かしら……」
もしも、これが本に書かれていた「赦し」だとすれば、契約ができるかもしれないと淡い期待が膨らむ。
「この樹液を指輪にたらしてみる、とか……?」
(とりあえず、やってみるしかないわね)
本来なら、染み出てきた樹液は固まってから採取するのが正しいやり方だが、待っている時間も惜しいと感じてしまい、エレインは指輪を付けた指をフランキンセンスの切り口の少し下へと近づける。
垂れてくる樹液を掬いあげるように指輪のベゼルを当てたそのとき、
「エレイン?」
「えっ? 殿下? ……わ、わっ……!」
アランの声とほぼ同時に、まばゆい光がエレインを包み込んだ。
「エレイン――!」



