空色の瞳がエレインを捉え、目が合うと彼は息を吐くようにエレインの名を口にした。
「気分はどう? 痛むところや吐き気は?」
「もう、大丈夫です……」
「うぇ? エレイン……? エレイン、エレイン! 大丈夫? エレイン!」
話し声で目を覚ましたテオがエレインに覆いかぶさるように抱き着いてきた。
その小さな体を、ぎゅっと抱きしめ震える背中をとんとんとあやす。
ひっくひっくと小さく痙攣させながら、テオは何度もエレインの名を呼んだ。
「テオさま。エレインはもう大丈夫ですよ。ちょっと眠くなってしまっただけなんです。驚かせてすみません」
「テオ、エレインから離れるんだ」
「やだやだ! エレインーー!」
「はい、エレインはここにいます。どこにもいきません」
困り顔のアランに「大丈夫」の意を込めて微笑むと、アランは立ち上がりドアに向かって声を掛ける。
勢いよくドアが開き、泣きそうな顔のニコルが飛び込んできた。
「え、エレインさまぁっ! よがっだぁ……!」
エレインの顔を見るなり涙を流すニコルに、アランもエレインも苦笑いを浮かべる。
「心配かけてごめんなさい、ニコル」
「ほんどでず……ずっ……心臓が止まるかと思いまぢだ!」
「ニコル、とりあえず、テオを部屋に連れて行って寝かせてくれるかい」
「ずびっ……あい、かしこまりましたぁ」
鼻をすすり涙を拭いて、ニコルがテオに手を差し伸べる。
「テオ、テオがいたらエレインはゆっくり休めないから、今日はもうお休み。明日また会えるから」
「……」
エレインに抱き着いたまま、テオは黙ってなにかを考えているようだった。
彼の中で葛藤があったのだろう、ようやくエレインから離れたテオは、濡れそぼった大きな瞳でエレインを見つめた。
「……明日……ほんとに会える?」
「はい、会えます。たくさん寝て、明日また元気なお顔を見せてください、ね?」
「……ん……やくそくだよ」
「約束です」
差し出された小さな小指に自分のそれを絡め、約束を交わした。
おやすみなさい、と就寝の挨拶をすると、テオは自分からベッドから降り、ニコルの手を取って自室へと帰っていった。
二人が出ていくのを見送ると、騒がしかった室内に静寂が訪れる。
(殿下は、休まなくて大丈夫なのかしら……)
「気分はどう? 痛むところや吐き気は?」
「もう、大丈夫です……」
「うぇ? エレイン……? エレイン、エレイン! 大丈夫? エレイン!」
話し声で目を覚ましたテオがエレインに覆いかぶさるように抱き着いてきた。
その小さな体を、ぎゅっと抱きしめ震える背中をとんとんとあやす。
ひっくひっくと小さく痙攣させながら、テオは何度もエレインの名を呼んだ。
「テオさま。エレインはもう大丈夫ですよ。ちょっと眠くなってしまっただけなんです。驚かせてすみません」
「テオ、エレインから離れるんだ」
「やだやだ! エレインーー!」
「はい、エレインはここにいます。どこにもいきません」
困り顔のアランに「大丈夫」の意を込めて微笑むと、アランは立ち上がりドアに向かって声を掛ける。
勢いよくドアが開き、泣きそうな顔のニコルが飛び込んできた。
「え、エレインさまぁっ! よがっだぁ……!」
エレインの顔を見るなり涙を流すニコルに、アランもエレインも苦笑いを浮かべる。
「心配かけてごめんなさい、ニコル」
「ほんどでず……ずっ……心臓が止まるかと思いまぢだ!」
「ニコル、とりあえず、テオを部屋に連れて行って寝かせてくれるかい」
「ずびっ……あい、かしこまりましたぁ」
鼻をすすり涙を拭いて、ニコルがテオに手を差し伸べる。
「テオ、テオがいたらエレインはゆっくり休めないから、今日はもうお休み。明日また会えるから」
「……」
エレインに抱き着いたまま、テオは黙ってなにかを考えているようだった。
彼の中で葛藤があったのだろう、ようやくエレインから離れたテオは、濡れそぼった大きな瞳でエレインを見つめた。
「……明日……ほんとに会える?」
「はい、会えます。たくさん寝て、明日また元気なお顔を見せてください、ね?」
「……ん……やくそくだよ」
「約束です」
差し出された小さな小指に自分のそれを絡め、約束を交わした。
おやすみなさい、と就寝の挨拶をすると、テオは自分からベッドから降り、ニコルの手を取って自室へと帰っていった。
二人が出ていくのを見送ると、騒がしかった室内に静寂が訪れる。
(殿下は、休まなくて大丈夫なのかしら……)



