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2025年5月10日
高校生になって初めてのテスト期間が始まった。
中学のときと違って科目数が多く、今まで以上に勉強しなければ、と思ったので、放課後に図書室で勉強することにした。
結乃を誘ってみたけど、静かな空間は苦手だと断られてしまった。
寂しいけど、仕方ない。
質問ができたらすぐに先生に聞きに行ける環境は、簡単には切り捨てられないし、1人で頑張ることにする。
2025年5月15日
明日からテストが始まる。
そのためか、みんな下校するのがはやかった。
私は最後の確認がしたくて、職員室に行った。
そこで、田代先生に声をかけられた。
教科担任は今、席を外しているから、質問があるなら私が答えようって。
テスト期間は職員室には入れない。
だから、場所を変えた。
でも、先生が向かったのは、図書室でも空き教室でもなかった。
幽霊が出ると噂の体育倉庫。
途中でおかしいって気付いた。
勉強の質問をしに行ったのに、外に出る必要なんてないはずだから。
どこに行くんですか?って聞いた瞬間、私の目の前にいたのは、バケモノだった。
教師の仮面を外したバケモノ。
手にはナイフ。
逆らったら終わる。
その恐怖に支配されて、私は体育倉庫に入った。
薄暗い中で、私は袖をまくれと言われた。
指示に従うと、バケモノは私の左腕にナイフを突きつけた。
そして紙で手を切ったくらいの傷が、私の腕に浮き出た。
小さな痛みが走って、血が出た。
そんな私を見て、バケモノは笑った。
やはり白い肌に浮かぶ鮮血は美しい、と。
2025年6月30日
もう無理。
バケモノは何度でも私を呼び出して。
私の身体は傷だらけ。
夏が近付いてきたのに、私は半袖を着られない。
これは、いつまで続くの?
2025年7月25日
夏休みになったら、解放されると思ったのに。
少しずつ深くなっていく傷が、恐怖心が、あの体育倉庫に足を向かわせる。
助けてって言いたいのに、誰にも言えない。
言ったら、殺されるんじゃないかって、怖くなる。
それに、なにも知らないで平穏な日々を送っている結乃を巻き込みたくない。
でも、この地獄が早く終わってほしい。
いっそ、死んでしまいたい。
私が死ねば、この地獄は終わるよね?
そうだよね?
2025年7月26日
最近、結乃がそわそわしてる。
隠れてなにかやってるみたい。
なんでもないって笑うところを見るに、悪いことではなさそう。
もう少しだけ生きたら、前みたいに笑えるようになるかな。
せめて、誕生日まで。
9月22日までは、生きよう。
私はまた、結乃と楽しい時間を過ごしたいよ。
2025年8月31日
またバケモノが声をかけてきた。
かさぶたになった傷が可愛く見えるくらい、深い傷が私の身体に残される。
痛い。
痛い。
痛い。
こんな感覚、知りたくなかった。
2025年9月4日
最近、感情が死んでる気がする。
楽しいってなんだっけ。
私は、みんなと同じ世界に生きてるのかな。
結乃の隣で、私は笑えてる?
2025年9月10日
もう無理。
死にたい。
終わって。
なんでみんな笑ってるの。
なんで誰も気付かないの。
気付いてよ。
たすけてよ。
私はここにいる。
泣いてる。
痛い。
死にたい。
解放されたい。
笑わないで。
楽しそうにしないで。
2025年9月22日
死は怖い。
すべての時間を止めてしまう。
まだ生きていたかったのに。
他者の手によって奪われてしまった。
見て見ぬふりをした貴方。
私からすべてを奪ったことに身に覚えはないでしょう?
でも、私は覚えている。
私の傷に気付いていながら、そっと目を逸らしたこと。
見たくないのなら、見てしまうようにするだけ。
私が教えてあげる。
誰にも助けてもらえない恐怖。
死と隣り合わせの恐怖。
傷つけられる痛み。
それを知った貴方となら、私は喜んで笑い合う。
……でも、田代先生だけは、許さない。
もう、全部壊す。
2025年5月10日
高校生になって初めてのテスト期間が始まった。
中学のときと違って科目数が多く、今まで以上に勉強しなければ、と思ったので、放課後に図書室で勉強することにした。
結乃を誘ってみたけど、静かな空間は苦手だと断られてしまった。
寂しいけど、仕方ない。
質問ができたらすぐに先生に聞きに行ける環境は、簡単には切り捨てられないし、1人で頑張ることにする。
2025年5月15日
明日からテストが始まる。
そのためか、みんな下校するのがはやかった。
私は最後の確認がしたくて、職員室に行った。
そこで、田代先生に声をかけられた。
教科担任は今、席を外しているから、質問があるなら私が答えようって。
テスト期間は職員室には入れない。
だから、場所を変えた。
でも、先生が向かったのは、図書室でも空き教室でもなかった。
幽霊が出ると噂の体育倉庫。
途中でおかしいって気付いた。
勉強の質問をしに行ったのに、外に出る必要なんてないはずだから。
どこに行くんですか?って聞いた瞬間、私の目の前にいたのは、バケモノだった。
教師の仮面を外したバケモノ。
手にはナイフ。
逆らったら終わる。
その恐怖に支配されて、私は体育倉庫に入った。
薄暗い中で、私は袖をまくれと言われた。
指示に従うと、バケモノは私の左腕にナイフを突きつけた。
そして紙で手を切ったくらいの傷が、私の腕に浮き出た。
小さな痛みが走って、血が出た。
そんな私を見て、バケモノは笑った。
やはり白い肌に浮かぶ鮮血は美しい、と。
2025年6月30日
もう無理。
バケモノは何度でも私を呼び出して。
私の身体は傷だらけ。
夏が近付いてきたのに、私は半袖を着られない。
これは、いつまで続くの?
2025年7月25日
夏休みになったら、解放されると思ったのに。
少しずつ深くなっていく傷が、恐怖心が、あの体育倉庫に足を向かわせる。
助けてって言いたいのに、誰にも言えない。
言ったら、殺されるんじゃないかって、怖くなる。
それに、なにも知らないで平穏な日々を送っている結乃を巻き込みたくない。
でも、この地獄が早く終わってほしい。
いっそ、死んでしまいたい。
私が死ねば、この地獄は終わるよね?
そうだよね?
2025年7月26日
最近、結乃がそわそわしてる。
隠れてなにかやってるみたい。
なんでもないって笑うところを見るに、悪いことではなさそう。
もう少しだけ生きたら、前みたいに笑えるようになるかな。
せめて、誕生日まで。
9月22日までは、生きよう。
私はまた、結乃と楽しい時間を過ごしたいよ。
2025年8月31日
またバケモノが声をかけてきた。
かさぶたになった傷が可愛く見えるくらい、深い傷が私の身体に残される。
痛い。
痛い。
痛い。
こんな感覚、知りたくなかった。
2025年9月4日
最近、感情が死んでる気がする。
楽しいってなんだっけ。
私は、みんなと同じ世界に生きてるのかな。
結乃の隣で、私は笑えてる?
2025年9月10日
もう無理。
死にたい。
終わって。
なんでみんな笑ってるの。
なんで誰も気付かないの。
気付いてよ。
たすけてよ。
私はここにいる。
泣いてる。
痛い。
死にたい。
解放されたい。
笑わないで。
楽しそうにしないで。
2025年9月22日
死は怖い。
すべての時間を止めてしまう。
まだ生きていたかったのに。
他者の手によって奪われてしまった。
見て見ぬふりをした貴方。
私からすべてを奪ったことに身に覚えはないでしょう?
でも、私は覚えている。
私の傷に気付いていながら、そっと目を逸らしたこと。
見たくないのなら、見てしまうようにするだけ。
私が教えてあげる。
誰にも助けてもらえない恐怖。
死と隣り合わせの恐怖。
傷つけられる痛み。
それを知った貴方となら、私は喜んで笑い合う。
……でも、田代先生だけは、許さない。
もう、全部壊す。



