協会のロビーでは、僕のために用意された高速転移陣が静かに光を放っていた。
高速転移陣は、魔法協会が保有する最上級機密の一つであり、長距離を瞬時に移動するための高度な術式だ。
僕は最終確認のため、その場で足を止めた。
装束に問題はない。剣の調整も完了している。兄上から渡された指輪は、左手の薬指で微かに熱を帯びていた。
頭の中では、外交、戦闘データの収集、祭典の調査、ブラッドとの戦闘、ソフィアの保護――五つの任務が、優先順位に従って整理されている。
僕は厳重な警備に当たる職員たちに一瞥もくれず、淡々と転移陣の中央へ足を踏み入れた。
警備員の一人が、緊張した面持ちで声をかけてくる。
「ウリエル様、転移先のコードを確認いたします。ヴァリス・エテルニタス、コード『エテルナ』でよろしいでしょうか?」
「問題ありません」
僕の返答は、機械のように正確だった。そこに感情の揺らぎはない。
「転移を開始します」
低く重い唸りが響き、転移陣を構成する魔法石が青白い光を放ち始めた。
光の粒子が足元から立ち昇り、僕の身体を包み込んでいく。周囲の景色が徐々に光へと溶け、空間そのものが歪み始めた。
視界が白い閃光に覆われる直前、僕は一瞬だけロビーの天井を見上げた。
(兄上。あなたの思惑どおりには動かないかもしれませんよ)
心の中で、そう呟く。
兄上の望む結末と、任務として命じられたソフィアの保護。
その両方を最大限に利用し、僕自身の目的――ブラッドの幻想を打ち砕くこと――を果たす。
それが、僕の流儀だ。
白い閃光が弾けた。
次の瞬間、僕の姿は魔法協会本部から跡形もなく消え去っていた。
次に僕が立つのは、魔道と剣技の頂点を目指す者たちが集う国、ヴァリス・エテルニタス。
『エテルナの審判』が幕を開ける、その舞台だ。
高速転移陣は、魔法協会が保有する最上級機密の一つであり、長距離を瞬時に移動するための高度な術式だ。
僕は最終確認のため、その場で足を止めた。
装束に問題はない。剣の調整も完了している。兄上から渡された指輪は、左手の薬指で微かに熱を帯びていた。
頭の中では、外交、戦闘データの収集、祭典の調査、ブラッドとの戦闘、ソフィアの保護――五つの任務が、優先順位に従って整理されている。
僕は厳重な警備に当たる職員たちに一瞥もくれず、淡々と転移陣の中央へ足を踏み入れた。
警備員の一人が、緊張した面持ちで声をかけてくる。
「ウリエル様、転移先のコードを確認いたします。ヴァリス・エテルニタス、コード『エテルナ』でよろしいでしょうか?」
「問題ありません」
僕の返答は、機械のように正確だった。そこに感情の揺らぎはない。
「転移を開始します」
低く重い唸りが響き、転移陣を構成する魔法石が青白い光を放ち始めた。
光の粒子が足元から立ち昇り、僕の身体を包み込んでいく。周囲の景色が徐々に光へと溶け、空間そのものが歪み始めた。
視界が白い閃光に覆われる直前、僕は一瞬だけロビーの天井を見上げた。
(兄上。あなたの思惑どおりには動かないかもしれませんよ)
心の中で、そう呟く。
兄上の望む結末と、任務として命じられたソフィアの保護。
その両方を最大限に利用し、僕自身の目的――ブラッドの幻想を打ち砕くこと――を果たす。
それが、僕の流儀だ。
白い閃光が弾けた。
次の瞬間、僕の姿は魔法協会本部から跡形もなく消え去っていた。
次に僕が立つのは、魔道と剣技の頂点を目指す者たちが集う国、ヴァリス・エテルニタス。
『エテルナの審判』が幕を開ける、その舞台だ。



