協会のロビーに、僕のために用意された高速転移陣が静かに光を放っていた。転移陣は、協会の最上級機密の一つであり長距離を一瞬で移動するための術式だ。
僕は最後の確認をするために立ち止まる。
装束は完璧。剣の調整も完了。兄の指輪は、左手の薬指で微かに熱を持っている。
そして、頭の中には、外交、戦闘データの収集、祭典の調査、ブラッドとの戦闘、そしてソフィアの保護という任務が、優先順位に従って完全に整理されている。
僕は、協会の厳重な警備員たちに一瞥もくれず、淡々と転移陣の中央に足を踏み入れた。
警備員の一人が、緊張した面持ちで問う。
「ウリエル様、転移先のコードを確認いたします。ヴァリス・エテルニタス、コード『エテルナ』でよろしいでしょうか?」
「問題ありません」
僕の返答は機械のように正確で、感情の抑揚がない。
「転移を開始します」
重低音の唸りとともに、転移陣の魔法石が青白く輝き始めた。光の粒子が僕の足元から立ち昇り、身体を包み込んでいく。
視界が白い閃光に覆われる直前、僕は一瞬だけロビーの天井を見上げた。
(兄上。あなたの思惑通りには動かないかもしれませんよ)
そう、心の奥底で呟いた。
兄の望む結末と、仕事としての保全の命令。
そのどちらもを効率的に利用し、僕自身の目的――ブラッドの幻想を打ち砕くこと――を果たす。
それが、僕の流儀だ。
白い閃光が弾け、僕の姿は一瞬にして魔法協会本部から消失した。
次に僕が立つのは、魔道と剣技の頂点が集う国、ヴァリス・エテルニタス。
『エテルナの審判』が幕を開ける場所だ。
僕は最後の確認をするために立ち止まる。
装束は完璧。剣の調整も完了。兄の指輪は、左手の薬指で微かに熱を持っている。
そして、頭の中には、外交、戦闘データの収集、祭典の調査、ブラッドとの戦闘、そしてソフィアの保護という任務が、優先順位に従って完全に整理されている。
僕は、協会の厳重な警備員たちに一瞥もくれず、淡々と転移陣の中央に足を踏み入れた。
警備員の一人が、緊張した面持ちで問う。
「ウリエル様、転移先のコードを確認いたします。ヴァリス・エテルニタス、コード『エテルナ』でよろしいでしょうか?」
「問題ありません」
僕の返答は機械のように正確で、感情の抑揚がない。
「転移を開始します」
重低音の唸りとともに、転移陣の魔法石が青白く輝き始めた。光の粒子が僕の足元から立ち昇り、身体を包み込んでいく。
視界が白い閃光に覆われる直前、僕は一瞬だけロビーの天井を見上げた。
(兄上。あなたの思惑通りには動かないかもしれませんよ)
そう、心の奥底で呟いた。
兄の望む結末と、仕事としての保全の命令。
そのどちらもを効率的に利用し、僕自身の目的――ブラッドの幻想を打ち砕くこと――を果たす。
それが、僕の流儀だ。
白い閃光が弾け、僕の姿は一瞬にして魔法協会本部から消失した。
次に僕が立つのは、魔道と剣技の頂点が集う国、ヴァリス・エテルニタス。
『エテルナの審判』が幕を開ける場所だ。



