森の奥の静寂が、より一層重くのしかかる。
「……そう思うのか?」
アルの問いかけに俺は頷いてみせる。
「断言はできないが、可能性は高い。もし本当に七つの悪魔たちがこっちに来ているなら、時空の裂け目はもっと大きな規模で現れるはずだ。だが、ここ最近現れているのは、俺の右目が感知できる程度の小さなものばかりだ」
アルは腕を組み、再び先ほど裂け目があった場所を見つめる。
「まるで、偵察……あるいは、手探りでこの世界を探っているようにも思えます」
「なるほど……この世界のことを探っている最中だから、本格的な侵攻はまだってことか」
俺は二人の話を聞きながら、右目に再び包帯を巻き始めた。
そういえば、ヨルンが言っていた真夜中の森にあった時空の裂け目からは、黒い粒子が漏れ出していたな……。
あの粒子は暴食の悪魔だったが、少なくとも暴食の悪魔はこっちに来ているって思っていた方がよさそうだな。
あと……あいつ、強欲の悪魔だ。
脳裏に三百年前に戦った人物たちのことを思い出して、俺の中でどす黒い感情が芽生える。
「絶対に……強欲の悪魔だけは許さねぇ……」
俺は包帯を巻き終えると、小さく息を吐いた。
「まあ、いずれにせよこっちに来ている可能性は高い。そして、俺たちはそれを止めなくちゃいけない。これ以上、この世界をめちゃくちゃにされるわけにはいかないからな」
「分かっています、ブラッド」
レーツェルが力強く頷く。
「俺たちにやれることは限られている。ただ、こうして時空の裂け目を探し、見つけ次第消していくしかない。それ以外に方法はない」
アルの言葉に、俺は同意し頷いた。
本当に、どうすればこの状況を変えられるんだ。
時空の裂け目だけを見つけ次第に消して行っても、あいつらの侵入を許してしまっていることに変わりはない。
それに俺たちがこうしている間にも、あいつらは人間の体を乗っ取り、人間たちの生活の中に溶け込もうとしているかもしれない。
「……そろそろ、戻ろうか。少しでも休まないと、体が限界だ。それに、またいつ裂け目が現れるか分からないからな」
俺はそう言って踵を返した。レーツェルとアルもそれに続く。
三人の足音だけが、静かな森に響いていた。
空には、満月が煌々と輝いている。
その光は、この世界のすべてを知っているかのように、静かに俺たちを照らしていた。
「……そう思うのか?」
アルの問いかけに俺は頷いてみせる。
「断言はできないが、可能性は高い。もし本当に七つの悪魔たちがこっちに来ているなら、時空の裂け目はもっと大きな規模で現れるはずだ。だが、ここ最近現れているのは、俺の右目が感知できる程度の小さなものばかりだ」
アルは腕を組み、再び先ほど裂け目があった場所を見つめる。
「まるで、偵察……あるいは、手探りでこの世界を探っているようにも思えます」
「なるほど……この世界のことを探っている最中だから、本格的な侵攻はまだってことか」
俺は二人の話を聞きながら、右目に再び包帯を巻き始めた。
そういえば、ヨルンが言っていた真夜中の森にあった時空の裂け目からは、黒い粒子が漏れ出していたな……。
あの粒子は暴食の悪魔だったが、少なくとも暴食の悪魔はこっちに来ているって思っていた方がよさそうだな。
あと……あいつ、強欲の悪魔だ。
脳裏に三百年前に戦った人物たちのことを思い出して、俺の中でどす黒い感情が芽生える。
「絶対に……強欲の悪魔だけは許さねぇ……」
俺は包帯を巻き終えると、小さく息を吐いた。
「まあ、いずれにせよこっちに来ている可能性は高い。そして、俺たちはそれを止めなくちゃいけない。これ以上、この世界をめちゃくちゃにされるわけにはいかないからな」
「分かっています、ブラッド」
レーツェルが力強く頷く。
「俺たちにやれることは限られている。ただ、こうして時空の裂け目を探し、見つけ次第消していくしかない。それ以外に方法はない」
アルの言葉に、俺は同意し頷いた。
本当に、どうすればこの状況を変えられるんだ。
時空の裂け目だけを見つけ次第に消して行っても、あいつらの侵入を許してしまっていることに変わりはない。
それに俺たちがこうしている間にも、あいつらは人間の体を乗っ取り、人間たちの生活の中に溶け込もうとしているかもしれない。
「……そろそろ、戻ろうか。少しでも休まないと、体が限界だ。それに、またいつ裂け目が現れるか分からないからな」
俺はそう言って踵を返した。レーツェルとアルもそれに続く。
三人の足音だけが、静かな森に響いていた。
空には、満月が煌々と輝いている。
その光は、この世界のすべてを知っているかのように、静かに俺たちを照らしていた。



