ヴェルト・マギーア ソフィアと魔道と剣戟の勝利者

「やーっと見つけた!」

「えっ?」

屋敷の静かな庭園で本を読んでいた私の目の前に、突然、一人の男性が空から舞い降りてきた。

ふわりと地面に着地した瞬間、庭園に咲き誇る花々の花びらが風に舞い、きらきらと光を放つ。

その光景があまりにも幻想的で、私は彼を王子様だと思った。

それは、幼い頃から、この閉ざされた家から私を助け出してくれる人を夢見ていたからかもしれない。

「あの……あなたは?」

男性は深く被っていたフードを下ろすと、疲労の色を隠せない表情を見せた。

どうしてこの人は、こんなにも疲れた顔をしているんだろう?

それが、先生に対する私の第一印象だった。

彼は私の目線に合わせるように膝をつくと、左目を優しく細めた。

「初めまして、お姫様。俺の名前はブラッドだ」

そう言って、先生は私にそっと手を差し伸べてくれた。

その姿に見惚れていると、彼の首から下げられた守護石が輝き、私の頬を照らした。

ハッとして立ち上がった私は、ドレスの裾を持ち上げ、優雅に自己紹介をした。

「初めまして。私はカレンと申します。どうぞ、よろしくお願いいたします」

幼い頃から叩き込まれてきた挨拶が役に立ったことに、内心ほっとしていると、先生が「おお~!」と感嘆の声を上げ、拍手を送ってくれた。

生まれて初めて送られた拍手に、私はどう反応すればいいのか分からず、ただおろおろと戸惑ってしまった。

「あ、悪い悪い。まだ小さいのに、しっかり挨拶ができていたから感心しちゃってさ」

先生はそう言うと、腰に携えていた、青と水色のグラデーションが美しい鞘に収められた剣を抜き、私の目の前に差し出した。

「カレン。これを握ってみてくれないか?」

「えっ?」

それは、まるで空と海を溶け合わせたかのような、青と水色のグラデーションが美しい剣だった。

刀身には雪の結晶を思わせる繊細な模様が刻まれており、光を反射するたびにきらきらと輝いていた。

目の前に差し出されたその剣こそ、魔剣サファイアだった。

突然、知らない人が現れ、見たこともない不思議な剣を差し出されたら、普通の子供なら悲鳴を上げるか、逃げ出していたことだろう。

けれど、彼を初めて見たときから、私は悪い人だとは思わなかった。

だからこそ、迷わず剣の柄を握りしめた。

その瞬間、私たちの周りを無数の氷の結晶が舞い、足元には氷の薔薇が咲き乱れた。

その光景を目の当たりにした先生は、満面の笑みを浮かべ、嬉しそうにガッツポーズをした。

「よっしゃああ! これでサファイアの主も見つかった! ようやく……ようやく約束を果たせた!」

「約束?」

私の問いかけに、先生は自分の無防備な姿を見られたことに気づいたのか、一度咳払いをした。

「えっと、カレンだっけか? 今から君は、魔剣サファイアの主になったんだ」

「魔剣サファイアの、主?」

その言葉に、私は再び首を傾げた。

先生は困ったような顔を見せたものの、すぐに真剣な表情を浮かべた。