僕はぬいぐるみ。
生まれた頃から意志など関係ない。人間に未来を預けてきた。
美心に会う前は、もうこのまま消えてしまうんじゃないかと思うこともあった。
未来や希望を持つこともままならなかった。
でも、美心に出会ってから人生が変わった。
家族のように大切にしてくれた。
美心が教えてくれた優しい言葉を、一つ一つ覚えて、自分のものとして伝えてきたんだ。
……とても幸せだった。
目も体も動かせず、喋ることもできなくなったけど、ちゃんと生きてる。
ただ、不満が一つ。
美心が涙を光らせていても、拭ってあげれないこと。
静かな部屋でも、ちゃんと耳を傾けている。
愛しい香りに包まれても、僕はただ身を預ける。それが、運命。
最初から、人間になれない覚悟を決めていた。だから大丈夫。
約束は、守り通さなければならないことを知っている。
でも、約束する。
美心に幸せな未来が訪れるよう、ずっと願い続けることを。
感謝の気持ちは変わらない。
たとえ、この口がもう二度と動かなくても。
だから、もう泣かないで。
こんな姿になってしまったけど、ずっと傍で見守るし、幸せを願い続ける。
これからも、一番近くで応援し続けるからね。



